チャットボット導入で失敗する6つの理由

 2020.12.22  2023.05.17

2011年、アップル社のiPhoneにチャットボット型AIのSiriが初めて組み込まれたことによって、チャットボットの知名度は飛躍しました。それ以降、ビジネスにおけるチャットボット活用が進み、今では多様な役割を果たす機能として成長していることは皆さんもご存知のことでしょう。また、最近では企業のウェブサイトでチャットボットによる質疑応答スペースをよく見かけるようになりました。

このような流れを受けてチャットボット導入を検討されている企業も多いかと思います。しかし、注意していただきたいのは「チャットボットを導入したからといって必ずしも成功するわけではない」ということです。本記事でご紹介するのは、チャットボット導入において失敗する6つの理由です。失敗の原因を知り、対策を立てることでチャットボットの効果を最大限引き出すことができます。

もしもあなたがチャットボット導入を検討中であれば、チャットボット導入失敗の理由について知っておく必要があります。今回はよくあるチャットボット導入失敗の理由についてご紹介します。

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理由1. チャットボットに対する期待が大き過ぎる?

チャットボットは年々活用の幅を広げています。最近ではAIを搭載したものも多く、会話を重ねるたびに学習し、賢くなるチャットボットが登場しています。このような進歩から何でもできてしまうと言う印象を持つケースも多々ありますが、チャットボットに対する期待が大きいあまりプロジェクトが途中で頓挫してしまうケースもあることを念頭におく必要があります。「チャットボット=AI=万能」と言うようにチャットボットを過大評価し、あらゆる経営課題をクリアしてくれる魔法のツールのように思い込んでしまわないようにしましょう。

チャットボットの利用範囲は限定的です。ユーザーの情報収集を助けたり、オペレーターの業務負担を軽減したりと一部で高い効果を発揮するものの、無数に存在するFAQデータを搭載した完全かつ汎用的なチャットボットを開発するなどは現段階においては難しいものです。そのためチャットボットのタイプごとに何ができるのか、そして何ができないのかをしっかりと事前に理解することが大切です。

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理由2. チャットボット導入の目的がない

ウェブサイトは今や営業ツールと言って過言ではないほど重要な役割を果たしています。そのため、多くの企業がウェブサイト運営に力を入れており、競合他社のウェブサイトを参考にしていることも多いのではないでしょうか。このような場合に陥りやすい失敗が、「他社ウェブサイトがチャットボットを導入しているから自社も導入する」というケースです。このような動機で導入する場合には、導入の目的が不明確であり失敗するケースが多々あります。

何のために導入するチャットボットなのか?誰のために導入するのか?導入後の効果をどのようにして測定するのか?など、チャットボットの目的に始まり導入後の効果測定を行うためのKPIなどが設定されていない場合にはプロジェクトは失敗します。

理由3. PDCAを回すためのKPIが設定されていない

チャットボットの導入目的が明確に決まっていても、KPIが設定されていないケースがあります。KPIとは「KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)」のことであり、効果測定をする上で欠かせないいくつかの指標を指します。例えばチャットボットなら問い合わせ件数、問題が解決された件数、エラー件数、呼減数などを指標にしながらチャットボットの効果測定を行います。

これらのKPIが設定されていない場合、チャットボット導入にどのような効果があったのかを把握することはできません。そればかりか、チャットボットの改善に欠かせないPDCAサイクルを回せない可能性が高いため、結果的に導入失敗に陥ってしまうのです。

理由4. チャットボットが利用される回数が極端に少ない

チャットボットを導入してもそれが十分に利用されない限り成功とは言えません。チャットボットを導入する企業の中にはチャットボットを大々的に活用せずにひっそりとスタートするケースがあります。しかしそうしたケースでは、チャットボットによる処理件数が十分ではないため、性能改善やAI学習などのスピードが鈍化してしまい、PDCAを思うように回せない可能性が出てきます。

理由5. 目的に応じた性能が確保できていない

チャットボットは非常に活況な状態であり、多くのツールが市場には存在します。そのためかシンプルな機能と低価格さを売りにしているチャットボットツールも一定数存在し、自社目的を達成できないものも少なくありません。中には結果的に高度なチャットボットを必要とし、リプレースすることで無駄なコストを支払うこともあるでしょう。チャットボット導入時は事前に導入目的や対応する範囲、期待できる効果などを想定し、環境に最適なチャットボットを導入することが重要になります。

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理由6. 導入後のメンテナンス計画が立てられていない

ユーザーは我々が思っている以上にシビアであり「自分にとって利用価値がない」と判断すれば即座に方法を切り替えます。また、方法だけならまだしも他社に切り替えることすらあるでしょう。そうしたユーザーのニーズに応えられないがために失敗するチャットボットは少なくありません。

問題は導入時点でチャットボットの性能を上げられなかったことではなく、導入後の定期的なメンテナンスが実行されずにチャットボットの改善サイクルを生み出せないことです。チャットボットの性能を上げるには継続的なメンテナンスによって、運用しながら改善するのが最適解です。しかし、そのメンテナンス計画が立てられていないことで、結局はユーザーのニーズを満たせないまま運用が終わってしまうケースが少なくありません。実際に運用してみるとほとんどのケースにおいて当初予想していなかった事象や質問が出てきますので、それらの質疑応答に対応できるようメンテナンスを繰り返し行っていく必要があるのです。

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失敗を想定し、十分な対策を取る

いかがでしょうか?チャットボット導入では以上の理由から失敗するケースもあるので、全てのケースを想定しながら十分な対策を取ることが重要になります。あるいは、そうしたノウハウをしっかりと持った導入パートナーと協業することがチャットボット導入の鍵になると言えるでしょう。ベルシステム24ではコンタクトセンターにおけるチャットボット活用に関するサービスを幅広くご用意しています。もしご興味がございましたらお問い合わせください。

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上野 隆洋
上野 隆洋
新卒から事業企画部門に配属となり、事業部のPL管理、品質管理、レポート作成の自動化などに従事。その後コンサルティング部に異動し、外資系企業や地方自治体など幅広い業界の業務コンサルティングや、ソリューション導入コンサルティングを多数担当し経験を積む。現在は、コンサルティング手法を活用し、クライアント課題に応じたチャットボットの構築に取り組んでいる。
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