今、ビジネスでチャットボット活用が進んでいます。チャットボットは一般的にルールベースあるいは学習型のプログラムによってユーザーの質問等に対して自動返答します。このことによりオペレーターの負担を軽減してくれることがメリットの一つです。また、ユーザー視点にたつとすぐに欲しい情報にたどり着けるため煩わしさから解放されるというメリットもあります。最近では、チャットボットを使った商品注文サービスなども展開されており、今後のチャットボットは活発の幅が広がる分野と言えるでしょう。
しかし、その一方で残念ながら導入に失敗している事例も見受けられます。その多くは、チャットボットに対して「ウェブサイトに追加する一機能」という感覚で導入に至り成果が見込めないのです。一見、導入が簡単そうに見えるチャットボットですが、いくつかのポイントを押さえていないと、その効果を最大限に引き出しビジネス上のメリットを得ることは難しいでしょう。
本記事ではチャットボットを導入するにあたり、必ず知っておきたいポイントをご紹介します。
ポイント1. プラットフォームの選択
チャットボットと言えばウェブサイトに追加する機能と考えている方も多いでしょうが、実際は様々なシーンで利用されています。ウェブサイトはもとよりFacebookなどのSNS、スマートフォンアプリケーションなど活用の場は多彩です。では、どのようにしてプラットフォームを選択すべきなのか?まずはそれぞれの特徴を知ることが重要です。
ウェブサイト
ウェブサイト上にチャットボットを導入する主な目的は「FAQ(よくある質問)として活用」や「ホームページの案内」などです。オペレーターに問い合わせたいユーザーの多くはまず、該当する情報についてウェブサイト上で確認します。しかし、目的の情報にたどり着けないユーザーも多く、最終的にオペレーターに連絡して回答を得るのです。その中には商品やサービスの価格、キャンセル方法など基本的情報を知りたいという案件も多く、これがオペレーターの負担を大きくする原因になっています。チャットボットによってユーザーが求めている情報が即座に返答される環境を整えることで、オペレーターの負担を大幅に軽減できます。そのためコンタクトセンター では必須の対策として位置付けられています。
SNS
SNS上で展開されるチャットボットの多くは「ユーザーのお悩みに応える」というより、サービス色の強いものになっています。特に最近ではLINEトーク上で提供されるチャットボットが盛んであり、ユニークな事例もよく見られます。例えば日本郵便が提供しているLINEチャットボットの「ぽすくま」はLINEトーク上で配送追跡や再配達依頼が可能で、写真を送信するとオリジナル切手が作成できるサービスも展開しています。チャットボットを介してアルバイト求職者との面接日時を取り組めるサービスなどもあります。
アプリケーション
アプリケーションに搭載するチャットボットもSNS同様にサービス色が強いものもありますが、よりパーソナライズされたアシスタントやエンターテイメント要素を含むものが多くなっています。例えばユニクロの公式アプリに搭載されているチャットボットの「UNIQLO IQ」は、チャットボットと会話するだけでコーディネートの提案を受けられたり、トレンド商品を紹介してくれたり、在庫検索から商品購入まで一連の流れをチャット上で完結できます。
このようにチャットボットは、その利用チャネルや目的に応じてどのような展開をするのかを決める必要があるのです。そのためプラットフォームの選択はチャットボットの特色を決めつけることにもなるので非常に重要なのです。
ポイント2. 導入目的を明瞭にする
チャットボットを導入するにあたり、その目的を明瞭にしていないケースが多々あります。驚くことではなく、むしろトレンド的に普及しているITツールにはよくありがちなのかもしれません。取引先や競合他社などがこぞって導入していることから、「我が社もトレンドの乗り遅れてはいけない」というケースで導入目的が明瞭になっていない場合には注意が必要です。
もちろん「トレンドだから導入する」というスタートラインも間違ってはいませんし、色々と試しながら使うことは重要です。しかし、トレンドに便乗してチャットボットを導入しようと考えた場合は、動機と導入意思が前後していることを忘れずに、導入目的を明瞭にすることが重要です。
また、チャットボット導入の動機があったとしてもその目的を明瞭にできていないケースもあります。解決すべき経営課題は確かにあり、その解決のためにチャットボットが有効と感じたにもかかわらず問題や業務の整理ができていないがために目的が明瞭になっていないのです。
チャットボット導入において導入目的を明瞭にすることはとても重要です。ベンチマークにしている企業の導入目的をそのまま真似するのではなく、まずは経営問題や業務内容の整理を行なった上で、その中でチャットボットがどう機能するかを考え導入目的を明瞭にしていきます。
しっかりとした導入目的があるか否かによって導入の成否が大きく分かれ、プラットフォーム選択やツール選択の確固たる指針を持つことができます。
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ポイント3. 回避策を事前に考えておく
チャットボットはユーザーの悩みを解消したり、快適なサービスを提供したりすることでユーザーの満足度を向上します。つまりはUX(User Experience/ユーザー体験)において重要な役割を果たしているのです。これは裏を返せば、チャットボットによって重要なUXを損なう可能性もあり、それが他社へのユーザー流出を招く原因になります。
具体的にどういったシーンでUXを損ねてしまうかというと、ユーザーの質問や要望に対してチャットボットが正確に応えることができず、かつそこでUXが切断されてしまう時です。例えば商品やサービスに関する質問を投げかけたにも関わらず的外れな回答をしてユーザーニーズを満たせなかった場合、満足度は下がりますしその回避策を用意していないとUXはそこで途絶えてしまいます。
「裏切られた」とまでは思わないにせよ、何らかのニーズを満たせると期待してチャットボットを利用しているわけですから、その期待に応えられたかった時の代償は大きいものになります。そのためには、その道のプロに設計を手伝ってもらうことなどが重要になるでしょう。
また、チャットボットが正確に返答できなかった、ユーザーニーズを満たせなかったといった際の回避策を忘れずに用意する必要があります。
例えば、ユーザーの質問に対して正確に応えることができなかったのなら、そのままサポートデスクやコンタクトセンター に問い合わせ可能なボタンを用意するなど「UXを途絶えさせない」ことを意識しながら、様々なシナリオを用意してユーザーニーズを満たすための動線設計を忘れないでください。
たかがチャットボット、されどチャットボット
いかがでしょうか?こうしてチャットボット導入のポイントを整理すると、意識すべきポイントは案外多く、それぞれのポイントをしっかりと押させることがとても重要だということをご理解いただけたのではないかと思います。細かいところで言えばもっとたくさんのポイントがありますし、中にはチャットボットを提供するベンダーにしか持たない導入ノウハウなどもあります。また、ベルシステム24などのようにコンタクトセンター の知見を活かしながらチャットボットの最適な展開の知見を有する企業もいます。
まずは自社ビジネスでどのようにチャットボットを活用できるのか?をイメージしてみてはいかがでしょうか。
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