事例から見るKCS(Knowledge-Centered Service)に
準拠した運用設計のメリットとポイント
竹田 努
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目次
竹田 努
前回の記事では、KCSの歴史的背景や基本的な概念、実用化に向けての流れなどを解説いたしました。
今回は、具体的な導入事例をもとに、KCS導入の工夫と成功のポイントや、具体的なメリットをお伝えいたします。
また、KCSを始める上で心構えなどもご紹介いたします。
ベルシステム24では、これまで多くの企業にナレッジ管理に関するコンサルティングをご提供してまいりました。
そこで見えてきた企業が陥りやすいナレッジマネジメントの状況や課題、成功のポイントについてご紹介し、KCSを用いた手法がなぜ有効なのかメリットについて解説したいと思います。
導入時に工夫したポイントや成功の鍵を紹介します。
KCSを導入することによる具体的なメリットは、大別すると3つに分けられます。
KCS導入により、顧客満足度が向上する理由として、FAQやナレッジの充実により、オペレーターが迅速かつ自力で解決策を見つけやすくなるからです。これにより、問い合わせ対応の待機時間が短縮され、スムーズな問題解決が可能となり、顧客のストレスを軽減します。また、質の高いサービスを提供することができるため、顧客からの信頼も増し、満足度向上につながります。
ナレッジを活用することで、同様の問い合わせに対する回答が一貫して迅速に行えるようになり、対応時間が大幅に短縮されます。これにより、オペレーター一人当たりの対応件数が増加し、リソースの最適化が進みます。さらに、FAQを外部に公開することにより顧客が自己解決できるケースが増え、カスタマーサポートへの依存が減少します。その結果、運営コストの削減とともに、全体的な業務効率の向上が実現します。
新人スタッフは、ナレッジの参照を通じて独立して業務を進めやすくなり、自己解決力が養われます。これにより、OJT期間の短縮とともに、ストレスの少ない業務環境が作られ、オペレーターの満足度が向上します。結果、オペレーターの定着率が改善し、組織全体の安定性も増しました。一方、ベテラン層にとってはこれまで培った経験から、つい属人的な対応になりがちです。従って、既存メンバーへは、KCSの理解促進と協力を仰ぐことが非常に重要になります。
KCSは単なるナレッジ管理システムではなく、組織全体の顧客対応力を向上させるための重要な取り組みです。NextActionに向けて考えるべきこととして、KCSを単独のツールとしてではなく、組織全体で共有し活用されるべき文化や運用体系として定着させることが重要です。ナレッジの質を高めるためには、従業員全員が積極的に情報を更新・改善し、常に顧客のニーズに合った回答を提供できるよう努める必要があります。
そのためには、「運用ルールの整備」「従業員の積極的な関与」「テクノロジー活用」が鍵となります。
自社でKCSを導入するにあたり、まずは何から始めるべきか?
初めの第一歩として、組織全体でナレッジを活用する仕組みを取り入れていく上で、少しずつ実践し、成果を感じながらKCSの運用を定着化させていくことを念頭に置き、コンタクトセンターに関わる全従業員が納得感をもってKCSに向き合う ということが最も重要な心構えだと言えます。
KCSの導入により、企業はナレッジの共有と再利用を促進し、問い合わせ対応の効率化を実現しています。これにより業務の効率化、顧客満足度の向上、そしてデジタルツールの効果的な活用が進んでおり、さらにオペレーターの負担軽減と対応品質の均一化が実現します。結果として、コスト削減と顧客満足度の向上にも大きく貢献しています。
KCSは単なる仕組みの導入に留まらず、全従業員の意識改革を促し、組織全体の顧客対応力を大きく向上させる原動力となります。
この変革こそが、企業にとって競争力を高める鍵となるでしょう。

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