アップセルとは?クロスセルとの違いや成功に導くポイントを解説!

 2022.05.24  2023.05.17

ビジネスにおいて新規顧客を獲得する努力は不可欠ですが、獲得済みの顧客にできるだけ多く購入していただくという観点から、アップセルという手法を利用することも重要です。そこで本記事では、アップセルの概要や目的、混同されがちなアップセル・クロスセルの意味の違い、アップセル戦略を成功に導くポイントについて解説します。

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アップセルとは?

アップセルとは顧客単価を向上させる、つまり顧客が商品やサービスの購入に支払う平均金額をアップさせるための営業手法です。アップセルには、大きく分けて「ランクが上の商品や高級品の提案」「まとめ買いの提案」「定期コースの案内」という3つのパターンがあります。ここでは各パターンについて、化粧品の販売を例に解説します。

ランクが上の商品や高級品の提案

顧客が購入しようとしている商品よりも、グレードの高い高額商品をすすめることです。たとえば、シミを気にしている顧客が低価格帯の美白化粧水を買おうとしているときに、より美白効果の高い高価格帯の美白化粧水を提案する、といった形をとります。

まとめ買いの提案

顧客が1個だけでなく複数個まとめて購入するように、商品をすすめることです。たとえば、化粧水が3本セットになった商品の購入を提案するなどです。

定期コースの案内

定期的に商品を顧客に届けるサービスを紹介することです。たとえば、化粧水がなくなった頃に、新しい化粧水を届ける定期コースのサービスがあることを顧客に説明しておけば、その化粧水を気に入ってもらえた場合に、定期コースを利用してもらえる可能性が高まるでしょう。

アップセルの目的

アップセルの目的としては、「顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)の向上」「ビジネスモデルの強化」「業務効率化」などが挙げられます。

まずLTVの向上とは、任意の顧客がその生涯にわたって企業に与えてくれる利益をアップさせることです。LTVは、購買単価と購買頻度と契約継続期間の積で算出される数値なので、アップセルによって顧客の購買単価が上がれば、それに連動する形でLTVも向上していきます。

次にビジネスモデルの強化とは、企業が収益を上げる仕組みを改善することです。アップセルを利用すれば、良質な商品やサービスを求める顧客に対し、機能の充実など顧客ニーズに応じた付加価値を提供することで、その分大きな収益を得ることが可能です。

また業務効率化については、新規顧客を獲得するために多大な営業努力や宣伝費をつぎ込むよりも、アップセルを用いて、すでに獲得している顧客の購買単価を上げることに重点を置いたほうが、収益を上げるための業務をより効率化できるでしょう。

クロスセルとの違い

アップセルと混同されがちなのが、クロスセルという手法です。アップセルもクロスセルも、ともに顧客単価を上げるための方法として知られていますが、顧客単価を上げるために何をするのかという点では大きく異なります。

クロスセルとは、ある商品の購入を検討している顧客に対し、その商品が入ったセット商品や別の関連商品を提案して、ほかの商品も一緒に購入してもらう営業手法です。アップセルでは、客が買おうとしている本命の商品に付加価値をつけて顧客単価のアップを図りますが、クロスセルでは本命の商品に別の商品をプラスして顧客単価を上げます。

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アップセル戦略のメリット・デメリット

メリットの大きなアップセル戦略ですが、同時にデメリットもあります。以下に、どのようなメリットとデメリットがあるのか、それぞれ簡単に解説します。

アップセル戦略のメリット

アップセル戦略の主なメリットとしては、「顧客単価の向上」「営業効率の向上」「顧客満足度の向上」などが挙げられます。

アップセルでは、自社の商品やサービスに何らかの付加価値をつけて、1人の顧客が1回に購入する金額を引き上げることにより、顧客単価の向上を図ります。顧客単価の向上は企業の収益に直結するため、万が一新しい顧客の獲得に失敗したとしても、企業の経営状態を悪化させずに済みます。そして、リピーターによる収益が十分に多ければ、企業成長につなげることも可能でしょう。

また、新しい顧客を探して営業をかけるよりも、すでに自社と関わりを持っている顧客に営業をかけるほうが、営業コストが少なく済むうえ成功率も高いので、営業効率の向上が見込めます。

さらに、商品やサービスの付加価値によって顧客のニーズが満たされ、価格の上昇分が商品やサービスの付加価値に見合う金額であると納得してもらえれば、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。

アップセル戦略のデメリット

アップセル戦略の主なデメリットとしては、「失注リスク」や「顧客ロイヤリティの低下」などが挙げられます。失注リスクとは、顧客にうまく営業をかけられず受注に失敗してしまうリスクのことです。また、顧客ロイヤリティの低下とは、顧客が企業に対して抱いていた好意や信頼感を押し下げてしまうことを指します。

どちらも営業成績を上げようとして、顧客の話をよく聞かず一方的に高額商品ばかり提案するセールスで起こりがちです。強引な提案を受けた相手は、欲しくないものを押し売りしてくる企業だと感じる可能性があります。購入意欲が減退してしまい、最悪の場合他社に流れてしまうでしょう。せっかく自社の商品やサービスのファンになってくれたとしても、押し売りされることで印象が悪くなれば、顧客の心が企業から離れてしまうこともあるのです。

アップセル戦略を成功させるためのポイント

上記のアップセルのデメリットを極力生じさせないためには、メリットだけを享受できるように、アップセル戦略を成功させる必要があります。アップセル戦略を成功させるための主なポイントとしては、「アップセルのための事前準備」「顧客のターゲット選定」「ツールの導入」「コンタクトセンターによるお得感・割安感の提示」などが挙げられます。

アップセルのための事前準備

まず、価格帯ごとに特徴のある商品やサービスを開発し、用意しておくことが重要です。そもそも、さまざまなニーズを持つ顧客に対して適切な提案ができるよう、ワンランク上のラインアップがなければ話になりません。開発する商品やサービスは、価格帯による機能やデザインなどの違いが誰の目にも明らかで、価格帯が上がるほど魅力的なラインアップとなるように心がけましょう。

顧客のターゲット選定

顧客の中でもロイヤリティが高く、高価格帯のものを購入してくれそうな人をアップセルのターゲットとして選ぶことも大切です。豊富なラインナップを知ったうえで、あえて現在利用中のものを選択しているような顧客は、見込みが高いとはいえないためターゲットから外したほうが無難でしょう。

ツールの導入

ツールを有効活用することで、アップセル戦略の成功に貢献できます。たとえば、顧客のターゲット選定を行う際、顧客情報や顧客とのコミュニケーション履歴などを管理するCRMツールによって分析を行うと効果的です。

コンタクトセンターによるお得感・割安感の提示

コンタクトセンターで顧客からの購入相談を受けた際、高価格帯の商品について、低価格帯の商品にはない何らかのお得感や割安感を示せるとよいでしょう。たとえば、低価格帯の商品の保証期間が1年間のところを、高価格帯の商品については特別に保証期間を5年間にする、といったサービスでお得感を演出できます。

まとめ

アップセルとは、顧客が商品やサービスに対して支払う平均金額をアップさせて、顧客単価を引き上げる営業手法です。アップセルとクロスセルとの違いは、アップセルが商品に付加価値をつけて顧客単価の向上を図るのに対し、クロスセルは別商品との同時購入で顧客単価の向上を図る点にあります。

アップセルを成功に導くためには、アップセルに不可欠な事前準備を行い、顧客のターゲット選定を行ったうえで、CRMなどのツールを導入し、コンタクトセンターがお得感や割安感を顧客に提示することがポイントとなります。

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安東 龍太
安東 龍太
2016年入社後、オペレーション部門に所属。嗜好品メーカーやゲーム業界のカスタマーサポート業務を経験。その後、同嗜好品メーカーのコンタクトセンターのチャットボットトレーナーを行い、ログの分析やチャットボット構築手法を学ぶ。
現在は、企画部門でコンタクトセンターのDX推進を目的にRPAや予測分析ツールのオペレーション内での活用支援を行っている。
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