コンタクトセンターにおけるWFMの役割と最適な人員配置

 2020.07.08  2024.04.24

コンタクトセンターにおいて、オペレーターの適切な配置やシフトの作成は、常に頭を悩まされる事項です。失敗すれば応対品質を落としたり、コストを無駄にしたりする恐れがあります。そんな状況を避けるため活用されるのが「WFM(ワークフォースマネジメント)」です。
このWFMについて、概要と、コンタクトセンターにおける役割を解説します。

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WFM(ワークフォースマネジメント)とは

WFMとは「Workforce Management」の略です。その名の通り、労働力(Workforce)を管理(Management)するための戦略全般のことを指します。WFMはコンタクトセンターをはじめ、外食産業や物流の現場など、さまざまな場所で採用されている方法論です。

現代では少子高齢化によって、労働者不足が深刻になりつつあります。一方で人件費の負担は企業に重くのしかかっており、コスト削減のための人員の管理も避けられません。

コンタクトセンターについても例外ではなく、人材を適切に活用・配置して顧客対応の品質を落とさないようにしながら、できるだけ人件費のコスト負担をおさえなければなりません。そのために使われるのがWFMなのです。

日本の少子高齢化は、今後さらに進むと予想されています。必要なオペレーター数を揃えることは、より困難になっていくでしょう。既存のオペレーターに頼りすぎて負担増を求め続ければ、いわゆるブラック企業とも呼ばれかねません。WFMにより人員を効率的に管理していかなければ、今後コンタクトセンターを取り巻く状況は、さらに厳しいものになるでしょう。

コンタクトセンター運用におけるWFMの役割

コンタクトセンターにおいて、人材の適切な配置は最も重要な課題の1つと言えます。コスト削減だけが目的であれば、単純にオペレーターの数を減らせば実現は可能です。しかし入電数に対してオペレーターの数が足りないと、応答率が下がることは目に見えています。「電話がつながらない」「長く待たされる」といったクレームが増えれば、顧客満足度は低下の一途をたどることでしょう。

逆に、入電数に対して十分なオペレーターを確保できれば、そういったクレームが減り顧客満足度の向上につなげることが可能です。しかし入電数よりもオペレーターの数が多過ぎる状況になると、今度はオペレーターの稼働率が下がって、コストの浪費になってしまいます。いくら品質を維持するためとはいえ、オペレーターの待ち時間が長過ぎれば、コンタクトセンターにとって健全な状態とは言えません。

コンタクトセンターの管理者は、こうしたオペレーターの不足や過剰といった状況にならないように、適切に人材を配置する必要があります。そこで、WFMの活用が必要になってくるのです。

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WFMシステムを導入するメリット

WFMシステムとは、人員の配置・シフト作成を自動的に行うシステムのことです。コンタクトセンターを運営する際にはぜひ導入を検討したいものですが、WFMシステムには具体的にどんなメリットがあって、どんな課題を解決できるのでしょうか。

最適な人員配置

WFMは、以前から重要視されていた考え方でもあります。しかし、管理者が自身の経験をもとに人員の配置を行う従来の方法では、オペレーターが足りず顧客のクレームを生んでしまう可能性を考え、どうしても余分な人数を確保してしまう傾向にあります。また、管理業務を初めてこなすような従業員にとって、さまざまな判断材料と照らし合わせながらシフトを組んでいくことは、大きな負担になるでしょう。

一方、WFMシステムを導入すれば、データに基づいた精度の高い人員配置の実現が可能となります。WFMシステムでは、過去の入電数等を参照して、適切な人員数を導き出します。時間帯や曜日ごとの傾向を掴み、オペレーターを過不足なくスムーズに配置できるでしょう。WFMシステムを活用することによって、管理者の負担軽減が期待できるのです。

オペレーターの手配や進捗管理

WFMシステムでは、入電数や必要人員予測に基づいた人員手配、それに対する進捗管理も可能です。入電の予測数に合わせた人員手配の進捗を、一覧にして表示できます。また提供されるシステムによっては、人員の過不足を検知した時点で従業員にシフト変更のメールを送信する機能なども利用可能です。特に人員不足の場合には、後述のスキル登録と連動して、業務に必要となるスキルを持った特定のオペレーターへ勤務に入るよう依頼メールを送信することもできます。場面に応じた柔軟な対応により、さまざまなメリットを享受できるでしょう。

オペレーターのスキル登録

WFMシステムには、オペレーターごとのスキルレベルをはじめ、応対品質や勤務状況などを登録しておくことができます。人員不足が発生したときにはこのデータを利用して、必要なスキルを持った適切なオペレーターを自動的に抽出することが可能なのです。メールアドレスや対応可能曜日のみならず、時給金額や扶養控除・社会保険加入の有無など、オペレーターの情報を細かく登録しておくこともできます。

シフト表の自動作成

WFMシステムにおいて、シフト表の自動作成は重要な基本機能です。入電予測や、オペレーターごとのスキルレベルをはじめとする登録情報をもとに、シフト表を自動的に作成します。

WFMシステムによって作成されたシフト表は、管理者があとから条件を変えて修正したり、パターン化して再利用したりすることも可能です。加えて、作成したシフト表を任意のパソコン・スマートフォンへ転送することもできるため、管理者のサポートはもちろん、プリントアウトにかかるコスト削減にも貢献します。

自動作成するシフト表の見やすさや精度は、提供されるシステムごとに異なります。たくさんのシステムを比較するなどして、見やすさも含めた品質のよいシステムを選ぶようにしましょう。

WFMシステムの導入は初期投資を抑えて開始する

日本では、2000年代の初め頃からWFMシステムが採用されはじめました。それにより、高精度な人員配置が実現するようになってきています。一方で、初期のWFMシステムといえば、ソフトウェアパッケージ・ASPといったかたちでの提供が主流であり、導入するためには高額な初期投資が必要でした。結果、資金に余裕がある一部のコンタクトセンターでしか使われない状況が長らく続いていたのです。

そして現在、この状況を一変させたのが、クラウドの登場です。世の中のクラウド化の流れを受け、WFMシステムに関しても、今ではクラウドでの提供が主流となっています。WFMシステムがクラウド化されることで、インターネットに接続された環境なら、いつでも場所を問わず利用できるようになりました。日本各地に展開されている多くのコンタクトセンターとって、WFMシステムを導入するハードルは低くなっているのです。

少ない初期投資でスピーディーに導入できるようになったことは、クラウド化の恩恵と言えます。たとえば特定の拠点のみで導入のテストを行い、その結果次第でさらなる利用を考えるといった使い方もできるようになりました。WFMシステムの導入を考えるなら、こうしたクラウド型のシステムをスモールスタートで採用して、初期投資をおさえながら様子を見ていくのがよいでしょう。

ただし、クラウド型のWFMシステムは、ソフトウェアやASP版と比べて、個々のコンタクトセンターに適した形にカスタマイズしにくい、という特徴があります。事業者によっては比較的自由なカスタマイズができるとうたうところもあるので、特に気になる点がある場合は、導入前に相談してみるのがいいでしょう。

まとめ

コンタクトセンターにおいてWFMとは、過不足なく適切にオペレーターを配置するための戦略です。WFMシステムがクラウド化され、資金が豊富とは言えないコンタクトセンターでも、少ない初期投資で導入できるようになっています。少子高齢化でオペレーターの確保が困難な現代において、必要性を増しているシステムだと言えるでしょう。

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