顧客志向とは?意味や注目されている背景、
実践のポイントを徹底解説

   

近年、顧客志向のサービスに力を入れる企業が増えています。モノやサービスが売れにくい現代において、顧客から自社を選んでもらうためには、顧客志向の考え方が有効です。本記事では、顧客志向の意味や注目されている理由、実践する際のポイントなどを解説します。

顧客志向とは

顧客志向とは、顧客への価値提供を最優先する考え方を指します。「自社の売りたいもの売る」「自社の利益を優先する」といった経営方針とは優先順位が異なる考え方です。

なお、顧客の要望にただ応えるだけのビジネスは、顧客志向とはいえません。なぜなら、顧客の要望を全てかなえたとしても、それが真に顧客の求めるものであるとは限らないからです。顧客志向を重視したビジネスでは、顧客自身ですら自覚していない潜在的な欲求やニーズを満たせるよう取り組みます。

多くの経営者や担当者は「自社は顧客第一主義を掲げているから関係ない」と考えているかもしれません。しかし、表向きには顧客第一といいつつも、実際には自社の利益を最優先しているケースは多々あります。

顧客志向はなぜ注目されている?

顧客志向が注目されている理由は、利益の拡大につながるためです。また、市場に数あるモノやサービスの中から選んでもらうには、顧客のニーズを最優先する考え方が求められます。

利益の拡大につながるため

顧客志向によって利益の拡大につながる理由として、新規顧客を獲得するコストを抑制できることが挙げられます。顧客を最優先に考えてビジネスを行うため、既存顧客と良好な関係性を構築できます。その結果、満足度の向上によってリピーター化すれば、高額な費用を投じて新たな顧客を獲得しなくてもよくなるのです。

なお、新規顧客の獲得に要する費用は、既存顧客にモノやサービスを売るコストの5倍が必要であることが指摘されています。これは「1:5の法則」と呼ばれるものです。一方、顧客の流出を5%防ぐことで、最低でも利益を25%改善できるという「5:25の法則」もあります。

このように、既存顧客の維持と比較した場合、新規顧客の獲得はコストパフォーマンスがよくありません。短期的な視点に立つと新規顧客の集客に力を入れることよりも、既存顧客の比率を上げることに注力したほうが利益の拡大につながるのです。

飽和状態であるモノ・サービスから選んでもらうため

現在、市場にはあらゆるモノやサービスがあふれています。情報社会である現代では、魅力的な商品や優れたサービスはまたたく間に広がり、すぐに後を追う企業が出てきます。最初は多くのシェアを占めていても、すぐに競合がひしめき合い価格競争に突入する、といったケースも少なくありません。

似たような商品やサービスが数多く存在する中から顧客に選んでもらうには、顧客志向の考え方が求められます。同じ商品であっても、顧客の潜在的なニーズを理解し、もたらす価値やメリットをきちんと伝えられれば、自社を選んでもらえる可能性が高まります。

上記のような状況を作り出すには、顧客を理解することが欠かせません。データの分析やペルソナの設定などで顧客への理解を深めたうえで、継続的なブラッシュアップが必要です。

コンタクトセンターで顧客志向を実践するためのポイント

顧客との接点を増やすことで、顧客と良好な関係を築くチャンスが増えます。特に、コンタクトセンターにはさまざまな問い合わせや相談が寄せられるため、顧客志向をベースにコンタクトセンターを運営することが重要になるのです。

顧客ニーズを把握する

顧客志向のビジネスとは、顧客に利益をもたらすための取り組みです。それを実現するには、顧客が何を求めているのか、何を解決したいのかといったことを正確に把握しなくてはなりません。

顧客自身が、抱えている課題や真に求めるモノ・コトに気づいていない可能性もあります。そのような深い部分にまで切り込み、潜在的なニーズを把握できれば、顧客の利益につながる提案や商品、サービスの提供につなげられます。

顧客ニーズを把握する方法として、アンケートやインタビューの実施が挙げられます。また、蓄積している顧客情報や過去の行動履歴などを分析・共有する方法も有効です。ニーズを分析する際は、RFM分析やセグメンテーション分析、CTB分析といったフレームワークも活用してみましょう。

顧客に寄り添う

コンタクトセンターは企業の窓口であり、顧客にとっては困ったときの駆け込み寺のような存在です。駆け込んだ先で「機械的な対応をされた」「相手にされなかった」のような扱いを受けたと感じさせてしまえば、顧客の不満は募る一方です。

コンタクトセンターで顧客志向を実践するには、顧客に寄り添う姿勢を見せなくてはなりません。顧客の話にしっかりと耳を傾け、思いやりをもって対応することを心がけましょう。また、顧客の意見に対して反論するのではなく、共感を示してあげることも大切です。

このような対応ができれば、「顧客のことを親身になって考えてくれる企業」といった好印象を与えられるでしょう。その結果、リピーター化の促進や流出の回避につながります。

クレームの原因を理解する

顧客からクレームを受けた際、ただ謝るだけでは顧客志向の対応とはいえません。単なる謝罪は根本的な解決にならず、場合によっては顧客を余計に怒らせてしまう可能性もあります。

顧客のクレームに対しては、その原因を理解する努力が必要です。その上で、「今後どのように対応するのか」「どう改善するのか」といったことを伝えれば、納得してもらえるかもしれません。

クレームには、改善につながるヒントが隠されているケースが少なくありません。適当にあしらわず、クレーム内容を精緻に分析することで、より大きなトラブルに発展しかねない火種を発見できる可能性があります。
また、クレームに対して丁寧かつ適切な対応を行えば、よい印象を与えられ自社のファンになってもらえる可能性もあります。

顧客の声をもとに目標を立てる

顧客の声には、業務改善に役立つヒントが多く隠されています。そこから具体的な目標を設定し、実現できるよう取り組みを進めましょう。

例えば、顧客からの評価が低いオペレーターに対しては、高評価を目標に設定してトレーニングを行うことが必要となるでしょう。また、チャットを用いたサポートが好評であれば、顧客をチャットに誘導するようサイトを再設計してチャットでのサポート比率を上げる、などの目標設定が考えられます。

顧客志向を実施する際の注意点

顧客の声に全て応えられるのが理想ですが、現実的には不可能です。どうしても大多数の声が届きやすいため、マイノリティを置き去りにしてしまうかもしれません。全ての声に応えようとするのではなく、できるだけ多様な声を取りこぼさない体制や環境の構築を進めましょう。

また、過度な顧客志向によって自社が不利益を被らないよう注意が必要です。顧客最優先の取り組みではあるものの、やはり企業組織である以上、利益は確保しなくてはなりません。顧客の利益ばかりを考えてしまうと、自社の利益を圧迫してしまうおそれがあります。

顧客志向の実践において大切なのは、双方がWin-Winになれることです。どちらか一方が不幸になるようでは、真の顧客志向とはいえないでしょう。顧客を最優先にしつつ、自社もメリットを得られる取り組みが必要です。

まとめ

顧客志向をベースとした取り組みによって、利益の拡大が期待でき、数ある商品やサービスの中から選んでもらえる確率が高まります。コンタクトセンターで顧客志向を実践する際には、「顧客のニーズを正確に把握する」「顧客に寄り添う」「クレームの原因を理解する」といったポイントを押さえておきましょう。
「ベルシステム24」は、さまざまな業種・業態に応じたコンタクトセンターソリューションを提供しています。顧客志向のビジネスを促進することにも役立つため、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の推奨者

野瀬 裕
野瀬 裕
2002年に当社入社。国内外の流通・製造・金融大手企業などの幅広い業界で営業及び営業マネジメント、2017年より製販組織責任者としてBPO事業運営を担う傍ら、新規事業開発としてスタートアップへの出資や資本業務提携に従事。ソニーコンピュータサイエンス研究所との共同事業であるイノベーション&コミュニケーション サイエンス研究所を経て、現在コンタクトセンター現場のDXを推進するDCXセールス部 部門責任者。

株式会社ベルシステム24

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