LTVとは?計算方法やLTV向上で必ず押さえておきたいポイントを解説

 2022.07.21  2023.05.17

LTVとは「Life Time Value」の略で、「顧客生涯価値」を意味する指標です。近年、ニーズが多様化した顧客とのよい関係性を保つために、多くの企業が注目しています。本記事では、LTVの概要や計算方法、注目されている背景、LTV向上の方法をご紹介します。

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LTV(顧客生涯価値)とは

LTVとは「Life Time Value」の略語で、「顧客生涯価値」を意味します。ある顧客が取引を開始してから終了するまでの期間に、自社に対してどれだけ利益をもたらしたかを示す指標です。決められた計算方法により、その顧客から得られる収益の総額を算出します。

企業と顧客との取引は、一度だけとは限りません。顧客が購入した製品やサービスを気に入れば、引き続き同じ製品や関連製品、グレード版の購入も期待できます。そのような顧客1人当たりの売上総額がLTVです。なお、「顧客ロイヤルティ(製品やサービス、企業に対する愛着)」が高い顧客は、総じてLTVが高い傾向にあります。

企業にとってLTVは、新規顧客の獲得や既存顧客を維持するための重要なマーケティング戦略に欠かせない指標です。

LTVの計算方法

LTVの計算方法は、業界やビジネスモデルによりさまざまですが、最も一般的な計算方法は以下のとおりです。

【LTV=平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間】

また、顧客の獲得・維持に必要となるコストを加えた計算方法は以下となります。

【LTV=平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間-(新規顧客獲得コスト+既存顧客維持コスト)】

これらを計算した結果、LTVがマイナスになってしまうと、ビジネスが成立していないと判断できます。その場合は、LTV向上のための施策を打たなければなりません。

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LTVが注目されている背景

LTVが注目されている背景には、既存顧客維持の重要性やCRMの導入、マーケティング手法の変化が影響しています。ここでは、これらの理由について解説します。

既存顧客を維持する重要性が増した

主に新規顧客の獲得にかかるコストは、既存顧客の維持で同じ収益を得るケースと比較し、5倍かかるとされています。そのため、既存顧客との関係を良好に保ち、製品やサービス購入のリピーターになってもらったほうが、低コストで収益につなげられるのです。

こうした事情から、既存顧客とのよい関係を築くためのマーケティングが重要視されており、この関係性を数値として見える化できるLTVが注目されているのです。

CRMの導入によってLTVを向上できるようになった

CRM(顧客関係管理)とは、顧客とのよい関係性を構築し維持する施策、または顧客の情報を管理・分析するツールやシステムのことをいいます。

このCRMの導入により、顧客の属性や行動履歴などの管理・分析が容易となります。これまで管理できていなかった顧客情報の一元化により、経験や勘に頼らないマーケティングが可能になりました。顧客一人ひとりに合った適切な対応により、顧客満足度や顧客ロイヤルティを高め、LTVを向上させることが可能です。

マーケティング手法が変化した

近年のデジタル化により、顧客は自らさまざまな情報を取得できるようになりました。しかし、それにより顧客のニーズが多様化し、すべての消費者を対象とした従来のマスマーケティングは通用しなくなってきたのです。近年のマーケティングは、顧客のニーズに合わせ、それぞれに最適なアプローチを行うOne to Oneマーケティングに変化しています。

また、LTVの向上には「サブスクリプションモデル」の浸透も関係していると考えられています。サブスクリプション型のビジネスモデルでは、特にOne to Oneマーケティングが重要です。このようなマーケティング手法の変化により、さらにLTVが注目されているのです。

LTVを高めるには

LTVを高めるために必要なことは、LTVの計算式の要素を見るとわかります。具体的には顧客単価や購入頻度、継続期間などです。これらの要素を高めることで、LTVの向上が期待できるでしょう。ここでは、これらの要素を踏まえたLTV向上の方法を解説します。

商品単価を上げる

LTV向上のための速やかな方法として、製品やサービス自体の単価を上げる方法があります。しかし、顧客にとって製品やサービスの値上げは、敏感な問題です。たとえば、顧客がその製品やサービスを購入する理由として「安価」なことが挙げられる場合、値上げにより競合の他社製品に流れてしまうことも考えられるでしょう。そのため、単価を上げる場合は顧客離れが起きないよう、十分な分析が必要です。分析の結果、顧客が理解してくれるという結論に達したら実行しましょう。一方、製品やサービスの単価を上げることなく、原価を下げることで収益率を上げるのもひとつの手法です。

アップセル・クロスセルを行う

製品やサービス自体の単価を上げる以外に、「アップセル」や「クロスセル」により顧客単価を上げる方法もあります。アップセルとは、自社の製品を購入したことのある顧客に対し、より高額な製品を勧める手法です。一方、クロスセルとは、ある製品の購入を検討している顧客に、別の商品をセットで購入してもらうための手法です。

これらの方法で購入促進をすることにより、購買金額が増え、顧客単価が上がります。しかし、最も重要なのは強引なセールスを行わないことです。強引なセールスにより顧客離れが起こるおそれもあるため、必ず顧客目線に立って説明し、提案することがポイントです。

購入頻度を高めるよう促す

一度の購入額が低くても、購入頻度を高めることで購入金額を増やすことが可能です。定期的な購入は顧客単価のアップにつながります。

そのためには、顧客に対する適切なフォローが重要です。具体的には、「リマインドメールの配信」などを行うとよいでしょう。顧客が購入した製品やサービスの買い替え時期に合わせて、リマインドメールを配信することで、追加購入を検討してもらいます。他社製品への乗り換えを防いだり、顧客との関係を維持したりするために、メール配信は重要な施策です。

ロイヤルティを高める

LTVと顧客ロイヤルティには密接な関係があり、ロイヤルティの高い顧客を増やすことはLTV向上に直結します。というのも、ロイヤルティが高い顧客は、製品やサービスの定期的な購入だけでなく、それらを他者に勧めてくれる場合もあるからです。

ロイヤルティを高める具体的な方法は、「既存顧客のみの特典提供」や「ブランド価値の向上」です。たとえば前者の場合は、ポイントプログラムの提供やサービスの付与などが挙げられます。

また後者の場合は、コーポレートサイトのブラッシュアップや、社会的評価が高い製品の開発などの施策が効果的です。それらの取り組みをメッセージ配信し、「この企業にしかないもの」を伝えることで、自社や製品・サービスに愛着を持ってもらえるでしょう。

LTV向上で重要なのは顧客のファン化

LTVの向上に重要なのは、顧客とのよい関係性です。顧客が自社のファンになることで、LTVの向上が大いに期待できるでしょう。顧客とのよい関係性を築くためには、コミュニケーションが欠かせません。そのため、顧客と直に接するコンタクトセンターの役割が注目されています。

コンタクトセンターでよい顧客対応ができれば、顧客のファン化を期待でき、さらに他者に宣伝してくれる可能性もあります。反対に、顧客対応を誤ってしまうと今後の関係は期待できず、クチコミなどで広まるおそれもあるでしょう。

これらのことから、コンタクトセンターは顧客関係に大きな影響を及ぼします。LTV向上につなげるために重要なのは、顧客に情報を「主体的に」提供するカスタマーサクセスの施策です。コンタクトセンターにおいて顧客を成功に導くことで、LTVの向上を目指しましょう。

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まとめ

LTVは、企業にとって既存顧客を維持する重要性が増したことや、マーケティング手法の変化、CRMの導入により顧客管理が容易になったことで、注目が高まっています。

LTVを高めるには、LTV計算式の要素である商品単価を上げることや、アップセル・クロスセルの実施、購入頻度を上げるためのフォローを行うことが重要です。また、LTVと顧客ロイヤルティは密接な関係にあり、ロイヤルティの向上がLTVの向上につながります。

LTV向上で重要なのは、顧客の「ファン化」であり、直にコミュニケーションが取れるコンタクトセンターは重要な役割を担っています。

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横山 竜也
横山 竜也
03年よりコンタクトセンター業界に携わり、BPOマネジメントを十数年に渡り経験。クライアントの課題可視化、委託化による効率化や自動化を提案していく流れから、16年以降はボット・AI・FAQ・LINEなどのノンボイス領域のサービス企画開発を担当。19年にはマーケティング会社での経営企画を経験。ベルシステム24入社後はコンタクトセンター高度化の各種ソリューションのプリセールス、内部利活用の推進企画などを担当。
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