在宅業務は従業員に優しいのか?
実際に就業している従業員の声を聞いてみよう

 2024.12.27 2023.03.27

在宅コンタクトセンターは人材不足の解消やコスト削減、BCP対策などの観点から注目を集めるようになりましたが、在宅勤務という働き方は従業員にとってどのようなメリットがあるのか?従業員は課題を感じることはないのか?についてマネジメントする立場としては気になると思います。

この記事では、在宅業務は従業員に優しいのか、という観点で在宅コンタクトセンターで働く従業員の声や実体験を交えて解説していきます。

在宅業務は従業員に優しいのか?実際に就業している従業員の声を聞いてみよう

在宅コンタクトセンターサービス「Bell@Home」

在宅勤務に対する求職者のイメージ

在宅勤務を含むテレワーク(Telework)は「ICT(情報通信技術)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義されており、2010年後半から推進されている働き方改革を皮切りに、テレワークを実施する企業が増加していきます。そして、2020年以降、新型コロナウイルス感染症対策のため、急速に導入が進んでいきました。近年では、多様な働き方の推進、感染症拡大リスクや災害リスクなどを考慮したBCP対応の一環として、企業及び従業員にテレワークが広く普及しており、特に在宅勤務は増加傾向にあります。

2011年10月から在宅コンタクトセンターを推進する株式会社ベルシステム24では2022年11月に求職者を対象とした在宅勤務のニーズに関するアンケートを実施しております。10代~60代の男女、合わせて1,000名に対してアンケートを実施しましたが、このアンケートでは求職者に対して在宅勤務のイメージもヒアリングしています。

アンケートの結果から約7割が在宅勤務で働きたいと回答しており、特に10代~20代の在宅勤務ニーズは顕著で在宅勤務で働きたいと回答した人は約8割となりました。次いで30代が約7割という結果でした。

在宅勤務で働きたいと回答した求職者は在宅勤務で働きたい理由を主に以下の3点を挙げておりました。

  1. 人間関係を気にせず働ける
  2. 通勤時間がない
  3. プライベートと仕事を両立できる

在宅勤務で働きたいと回答した約7割の求職者はワークライフバランスを重視する傾向があり、特に10代~30代の若年層においてはその傾向が顕著であることを示唆していると考えられます。

反対に在宅勤務に否定的な回答をしている求職者は約3割おり、否定的である理由を主に以下3点挙げておりました。

  1. プライベートと仕事は分けたい
  2. 家に仕事をするスペースがない
  3. 対面のほうが相談、報告をしやすい

フリーコメントからも仕事とプライベートの区別がつかなくなっていき、仕事がプライベートの時間を圧迫してしまうのではないかと不安、コミュニケーションが取りづらそう、個室がないと仕事ができないイメージがあるなど、主には実際の働く姿を想像できないために否定的になっているという印象の回答が目立ちました。

つまり、在宅勤務に否定的な約3割の求職者も在宅勤務を正しく理解し、働く姿のイメージを持つことができれば、在宅勤務で働きたいと志向する可能性があるということになります。

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在宅勤務で働く従事員の一日

一般的に在宅勤務に関してはメディアで報じられる内容からイメージを持っていることが多いと思います。そのイメージは、通勤時間削減に伴うプライベートの充実というイメージや、人間関係を気にせずに好きなように時間を使って働けるイメージ、反対に独りで黙々と作業をしているために孤独を感じるイメージ、仕事をするスペースが確保できないことによって生産性が低下するイメージなど、賛否両論です。

そこで株式会社ベルシステム24では在宅勤務に対して正しく理解してもらおうと地方自治体と協力して市民向けに在宅勤務に関するウェビナーを2022年3月に開催いたしました。そのウェビナーの中で実際に株式会社ベルシステム24にて在宅勤務で働く従業員の一日を紹介しております。
なお、2021年の内閣府の調査ではテレワークの普及率は首都圏においては5割以上に対して地方圏においては2割程度に留まっており、地方自治体に住む市民の大半はテレワークの普及の少なさから在宅勤務をイメージできていない状態でした。

さて、株式会社ベルシステム24が開催したウェビナーの中では子育てをしているフルタイムで働いている女性を例に出社して働いた場合と在宅勤務で働いた場合の一日の従業員のプライベートを含めたスケジュールを紹介しておりました。

まずは出社して働いた場合について、オフィスまでの通勤時間を考慮して朝は5時に起床、本人、子どもそれぞれに朝食を済ませ、6時~7時の間に子どもの保育園への送り出しの後、電車でオフィスまで移動。勤務時間は保育園の送迎時間を考慮し、8時から17時までの勤務。勤務を終えたら、子どもを保育園まで迎えに行き、夕食、入浴を済ませて、家事をしてから23時に就寝するというスケジュールでした。
続いて在宅勤務で働いた場合は、7時に起床、家族と朝食をとり、通勤時間が削減された分でできた空き時間で家事をしつつ、子どもを保育園へ送り、9時から始業、休憩時間では昼食をとった後、残りの時間で家事をすることもでき、家事を済ませることができることで、18時以降に子どもを保育園に迎えに行った後は、夕食、入浴を済ませて、21時には子どもと一緒に就寝することができる、といったスケジュールでした。

このように在宅勤務は通勤時間の短縮による時間の確保、休憩時間の自由な活用によりプライベートを充実させることができる、と在宅勤務がイメージできていなかった市民に示したのです。
株式会社ベルシステム24が開催した地方自治体向けのウェビナーは、参加した市民の9割上が在宅勤務に対して正しく理解できたと回答し、通勤時間の削減によるプライベートの充実、子育て・介護との両立、柔軟な働き方に魅力を感じるとの意見が8割を超え、ウェビナーに対して9割以上が満足し、参加した市民の3割が株式会社ベルシステム24の仕事に応募したことから、在宅勤務をフックに地方における雇用創出に寄与した活動である、といえるでしょう。

在宅勤務における従業員視点での課題

在宅勤務は通勤時間がなくなることによってプライベートの時間を確保することができたり、子育て・介護との両立も可能な柔軟な働き方ができたりと従業員にとって優しい働き方である、という印象が強くなったと思います。
しかし、在宅コンタクトセンターにとって課題がないというわけではありません。特に従業員視点では以下の2点は課題となるでしょう。

  1. 自宅周辺の騒音や同居家族の話し声、ペットの鳴き声などの影響
  2. コミュニケーションが希薄になることによる孤独感・疎外感

①の自宅周辺の騒音や同居家族の話し声、ペットの鳴き声などの影響に関しては、自宅という業務環境により周辺の騒音や同居している家族、ペットなどの影響により、従来のコンタクトセンターでは想定されていない雑音が通話中に入ることによってエンドユーザーからクレームが発生することが考えられます。
自身が起因のクレームは従業員にとっては大きなストレスとなり、離職に繋がることが容易に考えられます。

②のコミュニケーションが希薄になることによる孤独感・疎外感に関しては、従来の働き方では職場で同僚と上司とコミュニケーションしながら業務に就いていた就業環境からの変化により発生すると考えられます。
孤独感・疎外感が募ればよりコミュニケーションが取りづらくなり、業務に支障を来して個人の成績も悪化し、モチベーションも低下していきます。モチベーションの低下が継続すると離職に繋がると考えられます。

現に在宅コンタクトセンターで働く従業員からは就業環境に起因するクレームによる悩みやコミュニケーションの希薄さから孤独感・疎外感を感じてしまう、といった声が少なからず聞かれます。
①の自宅周辺の騒音や同居家族の話し声、ペットの鳴き声などの影響に関しては、当然従業員側での就業に適した環境整備が求められますが、家の外の騒音など自身の努力だけでは解決できないものも含まれますし、②のコミュニケーションが希薄になることによる孤独感・疎外感に関しては、与えられた業務の運用による影響もあり、これもまた従業員の努力だけで解決できる課題ではありません。

これらの課題を早期解決しなければ、在宅勤務による影響で離職を招くことが想定され、在宅コンタクトセンターを安定的に運用継続することは困難となります。

在宅業務を成功に導く手法

2011年10月から在宅コンタクトセンターを推進している株式会社ベルシステム24では在宅コンタクトセンターを安定稼働に導くための解決手法を常に模索しております。その中で、自宅周辺の騒音や同居家族の話し声、ペットの鳴き声などの影響による課題、コミュニケーションが希薄になることによる孤独感・疎外感に関する課題に対しても対策を講じております。

自宅周辺の騒音や同居家族の話し声、ペットの鳴き声などの影響に関しては、故意で生じる騒音か不可抗力で生じる騒音かを分類し、それぞれに対策を講じております。
不可抗力で生じる騒音としては交通騒音、サイレンなどが挙げられます。不可抗力で生じる騒音がもし気になるという場合は、ノイズキャンセリングアプリケーションやノイズキャンセリング機能のあるヘッドセットを活用して対処しております。
故意で生じる騒音は私的な行動が原因で生じることが多いかと思います。事前のコンプライアンス研修や就業前の朝礼での注意喚起などで制御するとともに、顔認証機能のあるテレワークサポーターで着座状況を把握し、顔認証から外れて離席のステータスが多いメンバーへは声掛けや指導をするなどで私的な行動を抑制します。
さらにクレームを抑制するために、クライアントの協力も必要ではありますが、エンドユーザーへ事前アナウンスする、などで対処もしております。

コミュニケーションが希薄になることによる孤独感・疎外感に関しては、在宅コンタクトセンターでは主なコミュニケーション手段となるオンライン会議システムでのコミュニケーションの仕方を工夫しております。オンライン会議システムの仕組みを活用して疑似オフィスのような環境構築を実現しております。
採用から入社まではオンライン会議システムやオンラインでの入社手続きを行います。研修からOJTまでは休憩室、研修室などセッションを分けたオンラインルームで受講し、質疑は挙手ボタンを押して発言、もしくはチャットで質問を入力します。受電デビュー後はエントランス、受電エリア、会議室/個室のセッションに分かれた疑似オフィスで勤務し、エントランスでは出勤前の雑談や休憩を行い、会議室/個室では1on1面談やヒアリングなどが行われます。
セッションを分けることで、オフィス内で部屋を移動するような感覚、同僚とコミュニケーションがとれる場を設けることで、オフィスで勤務しているような感覚を醸成し、疎外感・孤独感の払拭を実現しております。

また在宅業務のマネジメントに関しても全コミュニケーターの応対をテキストで把握し、予め設定したキーワードによってアラートを発せられる音声情報ソリューション「AmiVoice(アミボイス)」を活用して工夫を凝らしております。
AmiVoiceは単に音声をテキスト化して、キーワードを検知してアラートを発するだけではありません。座席表から通話内容を可視化して複数同時にモニタリングができる、コミュニケーター、SV間の双方向コミュニケーションを簡単操作で行うことができる、キーワードだけではなく感情の変化も検知することができる、など在宅コンタクトセンターの遠隔マネジメント運用に必要不可欠な機能を網羅しているため、孤独感・疎外感払拭に直結するマネジメント、コミュニケーションを実現することができるのです。

株式会社ベルシステム24ではこれらの手法を盛り込んだ在宅コンタクトセンターソリューション「Bell@Home」を提供しており、採用、在宅オペレーション、そしてオペレーションの高度化を実現する先端技術の導入までを網羅したトータルコーディネートを実現しています。

まとめ

在宅コンタクトセンターでの在宅勤務は従業員にとって、通勤時間がなくなることによってプライベートの時間を確保することができる、子育て・介護との両立も可能な柔軟な働き方ができる、とメリットも大きく魅力的な働き方であると言えますが、一方で自宅周辺の騒音や同居家族の話し声、ペットの鳴き声などの影響、コミュニケーションが希薄になることによる孤独感・疎外感に関する課題もあることを解説いたしました。
そして、その課題を解決しなければ従業員の離職を招き在宅コンタクトセンターの安定稼働が実現できないことにも触れました。

課題解決の手法もご紹介しましたが、在宅コンタクトセンターを安定稼働させるためには課題解決にかかる時間もコストも必要となるため、早期安定稼働を目指すのであれば在宅コンタクトセンター構築実績のある専門のベンダーに業務設計から運用までを委託することも有効な手段です。

在宅コンタクトセンター導入の検討に当たって、多種多様な業務での在宅業務実績、蓄積されたノウハウを活かした在宅コンタクトセンター構築メソッドと在宅コンタクトセンターソリューションを持ち合わせた株式会社ベルシステム24に在宅コンタクトセンターのコーディネートをお任せする、という選択肢もあります。在宅コンタクトセンターを導入したいとお考えでしたら、一度相談してみることをお勧めします。

執筆者紹介

野瀬 裕
野瀬 裕
2002年に当社入社。国内外の流通・製造・金融大手企業などの幅広い業界で営業及び営業マネジメント、2017年より製販組織責任者としてBPO事業運営を担う傍ら、新規事業開発としてスタートアップへの出資や資本業務提携に従事。ソニーコンピュータサイエンス研究所との共同事業であるイノベーション&コミュニケーション サイエンス研究所を経て、現在コンタクトセンター現場のDXを推進するDCXセールス部 部門責任者。
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