コンタクトセンター戦略の定着化活動の重要性とメリット

 2023.11.20  2024.04.24

コンタクトセンターでは、市場の変換に対応するために、戦略を策定し、戦略に基づいたソリューションの導入に取り組むことで、センターの高度化を目指しています。各センターの事情によってテーマは異なるため、戦略通りに改革が進まない例は多く、導入したソリューションの効果が得られないというケースもあります。今回は、コンタクトセンターにおける、戦略に基づく取り組みの定着化活動の重要性とメリットについて解説します。

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なぜ定着化活動が求められるのか

そもそもなぜ定着化活動が求めれるのでしょうか。コンタクトセンターの戦略策定は、組織全体の将来の方向性を明確にし、目標設定するための重要なプロセスです。戦略策定後には、組織内のメンバーや関係者が戦略を理解し、内容を受け入れ、実行することが必要となりますが、一筋縄では行きません。そのため、定着化活動が必須となります。

定着化活動によって、具体的に以下の効果が期待できます。

  • メンバーへの共有
    ▪️戦略は組織全体で共有されるべきです。定着化活動を通じて、メンバーは戦略の目的、背景、重要性を理解し、共有することができます。この共有によって、メンバーは目標に向かって協力し合うことができます。
  • モチベーションの維持
    ▪️戦略の実行には時間と努力が必要です。定着化活動は、メンバーのモチベーションを高め、戦略の実行に取り組む意欲を促進する役割を果たします。メンバーが戦略の進捗状況や成果を確認し、成功に向けた意識を維持することが重要です。
  • 変革への適応
    ▪️戦略策定後は、組織内外の環境や市場の変化に対応する必要があります。定着化活動は、組織全体が変化に柔軟に対応し、戦略の修正や修正を行う能力を高めるための手段です。定着化活動を通じて、常に変化に適応する文化を醸成することができます。

したがって、戦略策定後の定着化活動は、戦略の成功のために不可欠です。その活動は、戦略の共有と理解、メンバーのモチベーションの維持、変革への適応を促進し、組織の成果を最大化する役割を果たします。

さらに、ソリューションをセンターに導入する際は、定着化活動は、導入効果を最大化させるためにより欠かせない取り組みとなります。ソリューション導入は組織内の業務プロセスを改善し、品質や生産性を向上させますが、導入しただけでは十分ではありません。定着化活動は、ソリューションを組織内で定着させ、効果的に活用するための取り組みです。

具体的には、以下の効果が期待できます。

  • 従業員の意識改革:
    システムの導入に伴って、業務プロセスや作業方法が変わることがあります。従業員は新しいシステムに対する理解と受け入れを促す必要があります。定着化活動は、従業員に対してシステムの利点や使い方を明確に伝えることで、意識の変革が実現します。
  • 継続的な教育トレーニング:
    従業員がシステムを効果的に活用するためには、適切な知識とスキルが必要です。定着化活動では、従業員に対して定期的な教育やトレーニングを行い、システムの操作や使い方を継続的に学ぶ機会を提供されます。
  • フィードバックと改善活動:
    システムの運用や利用において問題や課題が発生することがあります。定着化活動では、従業員からのフィードバックを収集し、改善点や課題を把握します。これにより、システムの運用をより効果的にするための改善活動が継続的に行われます。

ソリューションの導入と、その他戦略実行の定着化活動を総合的に行うことで、組織はシステムを最大限に活用し、効果的に運用することができます。定着化活動は、システムの利点を最大限に引き出すために欠かせない取り組みです。

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定着化活動の実情

コンタクトセンターの定着化活動の実情は、企業や組織によってさまざまです。実は、定着化が上手く機能せず、策定した戦略が停滞し、ソリューション導入に期待していた効果が得られないという場合が、数多く見られるのです。

定着化活動が進まない具体的な例を、いくつかあげてみましょう。

  • 現実的ではない目標設定や計画により、現場からの反発を受けてしまう。
  • 急な環境変化によって、策定した戦略やソリューション導入の方向性が変わる。
  • 実行部隊のリソース不足により、通常業務に追われて活動が進まない。
  • 現場サイドの変革に対する抵抗が発生する。
  • 他の導入ソリューションと重複し、業務が煩雑化する。

このように、定着化活動には、さまざまな課題が発生するものです。これらの問題を解決し、定着化活動をうまく進めるためには何をすべきでしょう?当社では、戦略策定の段階から、その戦略の実現性を考慮し、努力すれば実現可能な改善・改革テーマを設定、それにもとづいて、ソリューション導入も進めます。
ただし、実現可能にこだわりすぎると、現状維持と変わらなくなるため、あくまで、目指す高度化の方向性を崩さずに、実現可能なラインを見極めることが重要です。

また、当社が提唱する業務アジャイル開発手法、すなわち、あえて厳密な要件定義をせず、上流では方向性だけを決め、ソリューション導入後の定着化におけるフィードバックから、各論の業務やシステムを調整する手法を、積極的に取り入れます。

戦略策定やソリューション導入後は、定着化活動をリードするチームを専任とし、カスタマーサクセスとしてサービスを提供します。顧客主導の定着化活動が希望なら、短期活動によって、手法を型化して文書化し、それをスキルトランスファーして自走を支援します。センター運用全体を当社が担う場合には、通常業務のアウトソースとは別に、改革の定着化を請け負う専任カスタマーサクセスチームを長期に提供することで、センター高度化を支援しています。

定着化活動を効果的に進めるための3つのポイント

コンタクトセンターの定着化を成功させるための、主なポイントを紹介します。

1.戦略策定から運用定着化までを一貫して行う

コンタクトセンターの戦略策定時には、具体的なセンター運用のイメージを持ちながら策定していく必要があります。コンタクトセンターの戦略を立てようと思っても、求められる役割の変化とともに課題や問題は複雑化し、あるべき姿を描くことも難しくなります。そのため、外部企業に相談やコンサルティングを依頼したり、内部プロジェクトで戦略策定を試みたりしますが、思い通りにならず失敗するケースがよくあります。コンタクトセンター戦略を策定し、それを実現するためには、戦略策定方法論、ITソリューション導入力、現場でのITソリューション利活用知見などの複合的なスキルを有したパートナーと共に作りあげる必要があります。

2.ソリューション導入時の初期設定は運用重視型にする

コンタクトセンターの運用は、市場の動向や状況によって常に変化しています。最初に完璧なセンター設計を行っても、運用中に予測外の問題が発生し、運用に悪影響を及ぼすことがあります。そのため、設計後に設計外の問題が生じることを予測して、あらかじめ設計にかける工数を削減し、その代わりに運用中に問題が発生した場合にすばやく対応できる仕組みを構築することが重要です。


ソリューション導入時の初期設定は運用重視型にする

3.継続的な改善機会を通じて着実に高度化を進める

センターの戦略策定後の改善・改革テーマ実行やソリューション導入後には、センターの管理者やオペレータから様々な課題が挙げられます。これらの課題を放置すると、メンバーのモチベーションが低下し、活動が停滞してしまいます。一方で、全ての課題に対応しようとすると、改善活動を行うチームのキャパシティが飽和します。そのため、定着化活動には、システムの要件定義や、業務コンサルティグで使われる、改善機会手法や、アジャイル設計手法を適用します。

具体的には、
1.センターへの現状調査(アンケートやインタビューなど)を行い、課題を抽出
2.抽出した課題や、日々もらうフィードバックなどをシートにまとめて可視化
3.業務、システム、分析などの有識者を交えて、課題に対する解決の方向性を洗い出す。
4.難易度、コスト、期待値などの要素を考慮して、課題に優先順位を付ける。
5.システムや運用の両面で、実行する改善案を決定し、各チームに協力の強力で実行。

継続的な改善機会を通じて着実に高度化を進める

まとめ

センター戦略策定後およびソリューション導入後の定着化活動は、効果を最大化するために非常に重要です。一方で、定着化が進まず、期待した効果が得らないセンターが数多く存在しています。そこで、現実的な戦略に基づいて、改革を実行に移すための運用重視型の体制を整え、改善機会を通じて優先順位を決めて、継続的改善活動を行うことが、定着化を成功させ、センターの高度化を確実に実現します。

執筆者紹介

衣笠 雄海
衣笠 雄海
新卒から約10年間コンタクトセンターの運用管理を経験。センター構築から業務改善、品質管理、PL管理を行い、最終的に1拠点のセンター長としてセンター管理も経験。その後コンサルティング部に異動し、上流及び業務コンサルティングを中心に業界問わず約20件程度のプロジェクトを経験し、現在はプロジェクトマネージャーとして様々なプロジェクトの全体管理を行っている。
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