ナレッジ管理とは? 手法や目的も合わせて解説

 2021.01.07  コンタクトセンターの森 編集部

ナレッジ管理とは、社員がノウハウとして所有する知識や経験を組織内で共有して、生産性を最大化するためのマネジメント手法を指します。事業戦略において情報の共有は大きな課題です。そこで今回は、ナレッジ管理について詳しく解説すると共に、具体的なマネジメント手法や目的などについて紹介します。

ナレッジ管理とは? 手法や目的も合わせて解説

ナレッジ管理とは

「ナレッジ管理」とは、社員がもっている暗黙知を企業内で共有し、イノベーションを促して生産性を最大化するための管理手法です。ナレッジマネジメント(Knowledge Management)の頭文字を取って「KM」と略されることもあります。この概念が生まれたのは1990年代のことで、一橋大学大学院の野中郁次郎教授によって提唱されました。

ナレッジ管理を語るうえで重要な要素が2つあります。それが「暗黙知」と「形式知」という2つの知識体系です。暗黙知とは、個人的な経験や勘に基づくノウハウを指し、職人技や熟練工の技術などが該当します。形式知とは、言語や数式で論理的に説明できる知識のことで、データやマニュアルなどを指します。重要なのは「暗黙知」を「形式知」へと変換してつなげることです。つまり「熟練のスキル(暗黙知)」を「言語化・マニュアル化(形式知)」し、組織全体で共有して業務効率の最大化を目指すことが目的です。

ナレッジ管理が注目されるようになった背景

ナレッジ管理が注目されるようになったのは、かつては一般的であった終身雇用の崩壊により企業全体の知識やノウハウの総和を保てなくなりつつあることに起因します。高度経済成長時代は終身雇用制度によって長期的な雇用が保証されていました。そのため、定年まで勤める人材が多く、長期的なスパンで人材育成に取り組むことができました。

ところが、終身雇用の崩壊と雇用形態の多様化によって人材の入れ替わりが激しくなり、ベテランがもつ暗黙知を若手に継承することが困難になりつつあります。そのような背景から、組織内でのナレッジ管理の重要性が叫ばれるようになったのです。IT技術の発達によってスキルやノウハウの共有が比較的容易になったため、今後さらにスタンダードな手法になっていくと予測されます。

ナレッジ管理のメリット

ナレッジ管理とは簡単にいえば、個人のもつスキルを組織全体で共有し、企業の競争力向上を目指す手法です。ここでは、ナレッジ管理を経営戦略に取り入れることで、どのようなメリットを得られるのか具体的に見ていきましょう。

業務効率化

個人がもつ知識やノウハウの共有化によってもたらされる主な恩恵は、社員の業務遂行能力を一定の水準に保てることです。社員同士の能力差を最小限に抑えることで、業務の属人化を防ぐことにつながります。業務の属人化とは、特定のスキルをもつ人物がいなければ業務遂行が困難な状態をいいます。つまり、「あの人がいないと仕事が回らない」という状態です。もしも、その社員が休職や退職した場合、その部門の生産性は大幅に低下してしまいます。

そこで、スキルを言語化・マニュアル化して組織全体で共有できれば、誰でも同じように業務をこなすことができます。このように、誰でも同じ水準で業務に取り組める状況を「標準化」と呼び、属人化していた業務を標準化することで組織全体での業務改善が期待できるのです。

情報やノウハウの横展開が可能

ナレッジ管理の大きな特徴は、特定の社員がもつスキルやノウハウを横展開できることです。同じ業務を行うにしても取り組み方は千差万別で、業務の達成というゴールは一つしかなくても、そこに至るルートは無数にあります。しかし、その中で最も効率的な方法を共有できれば、企業全体の生産性を高めることにつながります。個人が確立したベストプラクティスが再現可能になることで、全社員のスキルアップが望めるでしょう。

企業としての競争力向上

ナレッジ管理は、社員一人ひとりが組織全体を強化し、組織が社員一人ひとりを強化するという好循環を生む手法です。社員のスキルが底上げされることで、それに比例してチーム全体の業務遂行能力も向上します。人材の生産性を最大化することで部門全体が最適化され、さらには企業全体の競争力向上へとつながるのです。

ナレッジ管理の手法

組織全体の競争力を底上げするナレッジ管理。暗黙知を形式知として全体に共有できれば、個人がスキルアップするだけでなく、企業経営において積み上げてきたノウハウという無形資産を守ることにもつながります。では、実際にどのように運用・管理していけばいいのか見ていきましょう。

ナレッジマネジメント導入目的の明確化

どのような手法にも共通していることですが、導入目的を明確にすることは重要です。ナレッジ管理を取り入れる背景には、必ず何らかの解決すべき問題があるはずです。経営的な課題を解決するための一つの手法としてナレッジ管理があります。

企業の存在意義は事業活動を通じて社会に貢献し、利益を得て活動を継続・発展していくことです。具体的にどのような問題を解決したいかを考え、曖昧な目標でなく明確な目標を定めましょう。

管理する情報のスコープを定める

明確な目的が定まれば、次は具体的にどのようなスキルや知識といった暗黙知を管理して共有化するかを決定します。まずは暗黙知を形式知に変換すること、つまりノウハウを可視化して具体的な言葉や数字に落とし込むことです。この暗黙知を形式知に変換するプロセスを「差出化」といいます。

差出化において大切なのは情報の取捨選択です。これまで蓄積してきた大量の情報の中から、優先順位をつけてデータ化する労力や手間に見合った情報を選定しなければなりません。管理する情報のスコープを定めるためには、前述した目的の明確化が重要となります。何のためにナレッジ管理を取り入れるのか、という目的を明確にすることで必要なスキルや知識を定めることができるでしょう。

業務プロセスの中に情報の管理・共有化の落とし込み

形式知を連結させて新たな知識体系を作る「連結化」と呼ばれるプロセスです。形式知とは言わば「知る」、もしくは「理解する」という状態であり、「できる」とは異なります。情報を組織全体で共有し業務効率化へと昇華するには、形式知とITシステムを融合させるなどして、より実践的な知識体系を構築する必要があるでしょう。

新たなシステムを導入する際は、段階的に組み込んでいくことが大切です。人は「現状維持バイアス」によって、従来のやり方を簡単に変えることはできません。きちんと社員たちの声を聞きながら、少しずつ業務プロセスに反映させていきましょう。

定期的な見直し

新たなシステムを構築しても、そこで終わりではありません。さらなる業務効率化を目指して、プロセスやデータの定期的な見直しを行う必要があります。具体的には、明確な目標を定めて期間を設定し、業務の効率化に対する貢献度を数値で把握することです。さらに、現場の声を定期的にレビューし、見直しを加えることも必要です。新たな仕組みの導入によって、逆に組織の硬直化へとつながってしまわないよう注意しなければなりません。

「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」のPDCAサイクルを繰り返し行い、継続的な改善を試みましょう。

まとめ

ナレッジ管理によって暗黙知を形式知化し、組織内で共有することで企業全体の生産性や競争力、企業価値の向上につながります。IT技術の進歩と共に時代は凄まじい速さで変化しています。時代に社会的価値を提供し続ける企業であるためには、組織も同じく変化・発展していかなければなりません。今回の記事を参考にしてナレッジ管理を事業戦略に取り入れてください。

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