顧客情報管理におすすめの顧客関係管理(CRM)システムとは?

 2022.02.17  2024.04.23

顧客に関する様々なデータを一元的に管理する顧客関係管理(CRM)システムは、業務の効率化と顧客満足度の向上の両方を実現できるツールとして注目を浴びています。本記事では、顧客情報管理が注目される理由、顧客情報の不適切な管理で発生しうる弊害、CRMシステムの導入メリットや活用ポイントなどを解説します。

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顧客情報管理とは? 注目される背景

顧客情報管理とは、顧客の氏名や住所といった基本情報だけでなく、購買履歴、契約中のサービス、問い合わせや商談の内容など、顧客に関するあらゆる情報を適切に管理し、ビジネスに活用することを指します。

今の世の中はモノやサービスが溢れているため、単純に商品やサービスを店舗に置いたり紹介したりするだけは思うように売れません。また、電話やメールで積極的に営業をかけてもなかなか相手にしてもらえず、門前払いされたり、冷たくあしらわれたりすることも多いでしょう。さらに、日本は少子高齢化によって人口減少が進んでおり、将来にわたって新規顧客の奪い合いがますます激しくなることが予測されます。そのため、これから新たな顧客の獲得に挑むとなると非常に大きなコストがかかるでしょう。また、苦労して新しい顧客を獲得しても、その顧客の総購入金額が顧客獲得にかけたコストを下回れば、利益は出ません。

そこで、売り上げを確実に伸ばして業績を上げるには、すでに自社と取引を行っている顧客の情報を上手く活用することがポイントです。

顧客の価値観は多様化しています。自社で握っている顧客情報をもとに顧客の心をしっかりつかみ、強固な信頼関係を作り上げることが重要です。
さらに自社で管理している顧客情報をもとに、顧客の価値観や行動などを分析して多用なニーズに対応していく必要も出てきています。

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顧客情報がうまく管理できていないと起こりうる弊害とは

顧客情報を適切に管理できていないと、業務効率低下や顧客情報の流出など、さまざまな弊害をもたらす恐れがあります。本記事を参考に、具体的にどのような弊害が発生するのかを把握し、顧客情報の管理が重要である理由を明確に理解しましょう。

業務効率が低下する

顧客情報の管理が適切に行えていないと、業務効率の低下につながります。例えば「対応履歴のある顧客に、以前と同じ対応をしてしまう」「一度アプローチした顧客に再度電話をかけてしまう」といったことが起こります。

また、顧客情報の更新を怠った結果、古い情報が残ったままになるケースも少なくありません。このケースでは、顧客と連絡が取れなくなってしまうため、利益の損失にもつながります。

こうしたことが原因で業務効率が低下すると、顧客満足度低下へつながる恐れもあることを理解しておきましょう。「何度も同じ対応をしてしまう・顧客の情報を探すのに手間取り・入電時に待たせてしまう」といったことが起きると、顧客は不快な気持ちになりかねません。そうした顧客は、競合他社へ流れて行ってしまうことになります。

顧客情報が流出するリスク

顧客情報の適切な管理ができていないと、情報漏えいを招く恐れがあります。特に「セキュリティの甘いシステムやツールを利用している・情報管理に関するルールが定められていない」などのケースでは、顧客情報を外部に流出させる可能性が高まります。

顧客情報の流出は、単に顧客へ迷惑をかける以上に、企業としての信頼を失いかねない重大な事故です。顧客の情報を流出させてしまうような企業と、積極的に関わりたいと考える個人や法人はほとんどいないでしょう。

当然企業としての評判が悪くなれば、利益も低下します。組織としての衰退を招いてしまうため、適切なツールやシステムを利用し、安全な環境下で情報管理を徹底する必要があります。

顧客情報を管理するのにおすすめのCRMシステムとは?

CRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理)システムとは、顧客情報を一元管理し、可視化できるツールで、膨大な顧客情報を効率よく管理できます。

顧客情報の管理にエクセルやスプレッドシートを活用する方法を採用している企業が見受けられます。例えばエクセルは、ビジネスパーソンが普段から使い慣れているオフィスソフトであり導入コストもかからないため、すぐに利用できるのがメリットです。しかし、表計算ソフトは顧客情報を運用管理するツールとしては向いていません。複数人による同時編集ができないため、データ破損や入力トラブルが起こる恐れがあります。また、データが増えれば増えるほど保存データの容量が重たくなり、入力作業に時間がかかるなどの問題も生じます。

さらに、顧客情報データの複製が簡単にできてしまうため、データの一元管理が難しいことや、顧客情報の漏洩につながることもあります。

しかし、CRMシステムを用いれば、顧客の基本情報に加えて過去の取引や問い合わせ履歴、セグメントメール配信などの管理といった多様な情報管理を一元的に行えます。また、複数人からの入力データもリアルタイムに反映されるため、常に最新の情報が確認できます。また、データ量が増えても入力作業に手間取ることもありません。

CRMシステムは、顧客との最初の接点となるコンタクトセンターの品質を向上させるためにも重要です。実装されている機能はシステムによって異なるため、導入の際には自社に必要な機能が揃っていることを確認しましょう。以下の記事もあわせて、参考にしてください。

コールセンターに必須のCRMとは?その目的と活用例
CRMとは?その意味や役割からメリット・注意点まで基本を理解する

CRMシステム導入のメリット

CRMシステムを導入すれば、顧客情報の収集や分析を効率的に行えます。また、部署間でデータ共有もできるため、顧客と直接やりとりするコールセンターの質改善につながるだけでなく、マーケティングや営業の効率化も同時に実現でき、業績の改善にもつながりやすくなります。

ここでは、CRMシステムの基礎知識について述べるとともに、CRMシステムを導入することでどのようなことが実行可能になるのか、そのメリットを具体的に示します。

オムニチャネルに対応できる

CRMシステムは、オムニチャネルに対応できるメリットもあります。現代ビジネスにおけるマーケティングでは、さまざまなチャネルを複合的に組み合わせて顧客へアプローチする、オムニチャネルと呼ばれる手法が主流です。

CRMシステムとの連携により、過去に自社と接点があった顧客の情報を一元的に管理できます。例えば「Webサイトで資料をダウンロードした後、実店舗で商品を購入してくれた・問い合わせをしてもらった」というような、自社と複数の接点を持つ顧客情報を関連付けて、一ヶ所にまとめて管理できるのです。

必要になるたびに、顧客ごとに情報を再度集めたり整理したりする必要がなくなるので、大幅な業務効率化につながります。もちろん各スタッフが業務に費やす時間を短縮させられるので、結果コストカット実現になる点もメリットです。

社内での情報共有が円滑に行える

CRMシステムでは、システムにつながるすべての部署で入力した顧客情報が、リアルタイムに更新され共有できます。そのため、システムを利用するすべての従業員が最新の顧客情報を常に確認しながら、それぞれの業務にのぞめる社内体制を整備できます。

このような体制が整うことで、部署内だけでなく部署間の情報共有が円滑に行え、どの部署でも顧客の最新情報に基づいて、適切なフォローアップを行えるようになるでしょう。
さらに、顧客から問い合わせやクレームを受けたときに、最新かつ抜けのない情報を参照してすばやく的確に対応できるようになれば、顧客満足度も上げられるでしょう。このように、CRMシステムを導入して地道な対応を積み重ねていけば、企業のイメージアップにもつながります。

顧客一人ひとりにパーソナライズしたアプローチが行える

顧客一人ひとりの情報を適切に管理できるため、個々に最適なアプローチを行えます。例えば過去の購入履歴から、顧客に最適な商品やサービスを提案する、誕生日にメールを送信するといったことが可能です。
個々の顧客状況に即した対応ができるため企業への信頼度も高まり、リピーターになって何度も自社の商品やサービスを購入してくれる可能性があります。

まだ自社の商品やサービスを購入してくれていない顧客に対しても、過去に問い合わせや資料請求などで接点があれば、適切な対応が可能です。そこから自然と、購入を促したり、リピーターになってもらったりする流れにも持っていけるでしょう。

顧客情報を一元管理できる

今や多くの企業が複数のチャネルで情報発信しています。そのため、消費者からの問い合わせも電話やメールに加えてブログや複数のSNSなど、複数チャンネルからアクセスがあります。CRMシステムを導入して顧客情報を集約することで、複雑化する商品やサービス、多様化する問い合わせなど、複雑化の一途をたどる業務の効率化も進めていけるでしょう。これにより、従業員の負担を軽減できるとともに、生産性の向上も実現できます。

また、システム上で顧客情報を一元管理できるので、担当者に依存した情報を前任者から後任者に引きつぐ際に、かかる手間や引きつぐべき内容の漏れや抜けを防げます。

さらに、全員が同じ顧客情報を常に利用できるようになれば、いつ誰が対応しても同品質の対応が可能となり、属人化の防止にも役立ちます。

CRMシステムで管理すべき顧客情報とは

CRMでは、顧客情報のすべてが管理の対象となりますが、その中でも特に、CRMシステムを利用して管理すべきであると考えられる顧客情報があります。ここでは、CRMシステムで管理すべき3種類の必須情報について解説します。

顧客の基本情報

まず、CRMシステムで管理すべきなのは顧客の基本情報です。氏名、電話番号、住所、家族構成、生年月日、性別、メールアドレス、DM送付の有無などの個人情報から、会社名、担当者の部署や役職、業種、組織図、決算時期などの企業情報までが含まれます。加えて、これまでに受けた問い合わせやクレームに関する情報、嗜好といった項目も顧客の基本情報です。

CRMシステムで管理する情報は、多ければ多いほどよいというわけではありません。項目が多すぎたり、複雑すぎたりすると、入力にかかる時間もそれだけ増えるので業務効率が下がってしまいます。したがって、システムで管理する情報は、入力時間を抑えるために簡潔な表現を心がけるとともに、適正な項目数にとどめる必要があります。あまり重要ではない項目の設定を避けるために、営業や各種対応を行ううえで必要不可欠であり、明確な選定理由がつけられるものを管理項目として選定するようにしましょう。

購買や契約の履歴

購買や契約の履歴も、CRMシステムで管理すべき情報です。例えば、購入商品名、購入日時、購入数量、支払い方法、購入金額、累積の購入金額や数量、/平均の購入金額や数量、顧客生涯価値(LTV)、リピート率、担当者名などが挙げられます。

なお、顧客生涯価値(LTV)はライフタイムバリューとも呼ばれ、顧客がその生涯を通じて企業にもたらす利益の合計を指し、マーケティング戦略の重要な指標として認識されています。

以上のような履歴データを分析することで、どのような商品をどれぐらい購入してくれる顧客なのかを判断し、優良顧客かどうかの見極めを行えます。また、それぞれの顧客について今後の消費行動を予想して、顧客に合わせた販売戦略を立てることも可能です。

事業全体の費用対効果

企業の業績を上げるには、事業全体を俯瞰することも大事です。したがって、事業全体の費用対効果(ROI)もまた、CRMシステムで管理すべき情報となりえます。売り上げ、利益、広告費、投資額など企業の収益性に関わる項目を、CRMシステムの管理項目として設定しておくとよいでしょう。

そうすれば、これらの管理データを用いて、ROIや広告の費用対効果(ROAS)を計算し、その結果をマーケティング施策に役立てられるようになります。ROIは、利益を投資額で除し、それを100倍することで算出できます。ROASは、売り上げを広告費で除し、それを100倍することで算出できます。投資や広告宣伝活動が効果的に行えているか、確認してみましょう。

CRMシステムで顧客情報管理を行うポイント

CRMシステムは、適切に運用を行わなければその力を存分に発揮できず、企業が抱えるさまざまな課題を解決できません。ここでは、CRMシステムで顧客情報管理を行うポイントについて解説します。

目的を明確化する

最初にCRMシステムの導入目的を明確にしておくことが非常に大事です。CRMシステムの導入は、企業の課題を解決するための手段です。「なぜシステムを導入するのか」を明らかにしておかなければ、導入後に得られる成果も曖昧なものになってしまいます。CRMシステムを選定する際には、導入するシステムが自社の業務に適したシステムかどうかを見極めることが重要です。

CRMシステムの導入目的が明確になれば、目標の達成度合いを測るKPIの設定も有効です。具体的な指標が数値化されることにより、目標達成のためにやるべきことがはっきり示されるので、従業員のモチベーションも高まります。

社内の体制を整備する

あらかじめ社内体制を整備しておかないと、CRMシステム導入により現場が混乱してしまう恐れもあります。CRMシステムを活用する部署や担当者・責任者などを明確に決めて導入スケジュールを周知しておくと、スムーズな運用開始が可能です。

組織全体で効率的にシステムを運用していくには、部署間での連携も必要です。導入対象の部署に関連する他部署にも、システム導入について周知しましょう。併せて、必要なら他部署間で相互に協力を仰ぐ体制づくりなどを進め、地盤を固めておきましょう。

運用マニュアルを作成する

スムーズな運用を実現するには、マニュアル作成も重要です。システムを導入しても、現場の人間が使いこなせないようでは意味がありません。誰もがシステムを問題なく扱えるように、わかりやすいマニュアルを整備しておきましょう。

ここでの注意点として、「ルールを細かく決めすぎないこと」が挙げられます。ルールが細かすぎると、現場の従業員にシステム使用自体を敬遠されてしまう恐れもあるからです。「ルールを守るのが面倒くさい」と思われれば、そうした事態につながるため、実際に使用する側の視点からシンプルで理解しやすいルールにすることが大切です。

また、マニュアルは一度作成したらおしまいにするのではなく、定期的に見直しを行いましょう。運用で見えてきた課題を分析し、必要に応じてマニュアルの修正を行うことが大切です。現場スタッフの声を集め、バージョンアップに反映させることも非常に有効です。

導入だけにとどめず活用する

CRMシステムを導入しただけで安心してしまってはいけません。重要なのはシステム導入ではなく、システムを有効に活用し、課題を解決していくことだからです。

CRMシステムは、顧客情報データが揃っていなければ導入しても意味がありません。まずは、顧客の基本情報、購買や契約の履歴、事業全体の費用対効果という3種類の顧客データを地道に収集して入力し、蓄積することから始めましょう。

顧客データが集まったら、それを用いてデータの分析を行います。代表的なデータの分析手法としては、セグメンテーション分析やデシル分析などがあります。

セグメンテーション分析は、性別・年齢・職業・居住地域といった顧客の属性や購買履歴のデータを使用し、顧客をグループに分けて行う分析手法です。この分析では、実際に自社の商品を購入してくれているのはどのような人たちが多いかがわかります。
例えば、商品Aは、九州地方に住む50代の会社員男性のリピート率が他の層と比べて突出して高い、といったことが具体的に把握できます。

デシル分析は顧客を購入金額順に並べ、顧客数を10で割った数を1グループの人数として、購入金額の上位から順にグループ分けする方法です。各々のグループで購入金額合計などを計算し、それをもとに購入比率などを算出して、各グループがどのぐらい自社の売り上げに貢献しているのかを調べます。売り上げに貢献していない層であっても、アプローチを変えれば飛躍的に売り上げを伸ばせる可能性があります。

CRMシステムを導入すると、顧客データの分析結果に基づいて具体的な戦略を立てられます。実行後は課題を抽出して定期的に戦略を見直し、成果につなげていくことができるようになります。このように、データを基にした効率的なマーケティング戦略にCRMシステムを活用して、初めて真価が発揮されるでしょう。

サポートを利用する

CRMシステムは、予期せぬトラブルに備えて、サポート体制が充実しているシステムを導入するようにしましょう。導入後はシステムの利用方法などでつまずくことも多いため、運用が軌道にのるまではサポートを利用するのが効率的です。

また、システムが停止するなど、突然のトラブルが発生した際すぐに問い合わせができるように、事前に窓口を確認しておくことが非常に大事です。サポート窓口の連絡先を押さえておけば、CRMシステムに何かトラブルが発生した時も、サポートを最大限に利用できるでしょう。

関連記事:CRM(顧客関係管理)システムとは? 機能と導入のメリット

まとめ

顧客情報の管理が不適切だと、業務効率が落ちたり、顧客満足度が下がったり、顧客情報の流出も起きかねません。これらによって企業の業績が悪化する恐れも高まります。このような課題を解決するには、顧客情報を一元管理できるCRMシステムの導入が効果的です。CRMシステムを運用できるようになれば、蓄積された顧客データを分析してマーケティング施策に活かせます。企業の業績アップにもつながるでしょう。

ベルシステム24では、企業が抱えるさまざまな課題の解決に役立つ、CRMソリューションサービスを提供しています。顧客分析やマーケティング戦略の高度化など、幅広いソリューションで企業の生産性向上や業績改善をサポートします。

この記事の推奨者

竹田 努
竹田 努
2004年に入社後、10年ほどは大型コンタクトセンターを中心にオペレーション、経営企画、営業(プライシング部)、事業管理部門など経験。その後コンサルタントマネージャーとして、各種業界(通信、金融、メーカー、小売り、サービス業)のコンタクトセンターのソリューション計画・設計・構築・導入、定着化支援を担当。現在は、CRM基盤やナレッジマネジメント、チャットボット導入、VOC分析などの活動を行っている。顧客に寄り添うことをモットーにプロジェクト管理、統括責任者として多数実績あり。
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