AI-OCRを活用したコンタクトセンター業務の生産性向上

 2024.12.27 2023.07.10

コンタクトセンター運営では、人材確保、顧客満足度、コスト削減など複数の問題に直面します。
そんなときに現状の運用を低コストで行いつつ、今後のスケールアップにも対応できるような仕組みづくりができると理想的だと思いませんか?
この記事ではコンタクトセンターでよくある課題とAI-OCRを活用した解決手法を解説していきます。

この記事を読むと

  • コンタクトセンター業務でのAI-OCRの活用事例がわかります
  • AI-OCR導入のポイントが理解できます

こんな人におすすめ

  • コンタクトセンター業務の人材確保に課題がある
  • スピード感を持った対応で顧客満足度を向上させたい

AI-OCRを活用したコンタクトセンター業務の生産性向上

2023年度版!コンタクトセンターの最新トレンドまるわかりガイド

コンタクトセンターが直面する課題

企業では売上を向上させるため、日々の業務を効率化させるために様々な課題に直面します。
弊社でコンタクトセンターを運営している企業にヒアリングを行なったところ、以下の4つの課題があることがわかりました。

人件費と人材確保

コンタクトセンター業務では大量のオペレーターを必要としますが、人材の採用・教育・維持には大きなコストがかかります。また近年では生産年齢人口も減少しており、人材の確保も難しくなっています。加えて高品質なサービスを提供できる優秀な人材を確保することはなお一層難しくなっています。

顧客満足度の維持

顧客の問い合わせや注文に対応するコンタクトセンターは、企業と顧客との重要な接点です。したがってオペレーターが提供するサービスの質は直接的に顧客満足度に影響を及ぼします。結果的に顧客対応が企業の評価を左右することも考えられます。

オムニチャネルへの対応

顧客が利用するコミュニケーションチャネルは多様化しており、電話、メール、チャット、FAXなど多く存在します。
このような複数のチャネルに対応する柔軟性も求められます。

案件規模拡大への対応

案件規模が大きくなるとそれに応じて、対応する業務量も増えるのが一般的です。
人員やシステム整備が十分ではない場合案件規模が大きくなった際に対応遅延など不都合が起きる可能性があります。

ここまで前提となる課題について述べてきました。
いくつか思い当たるものが合ったのではないでしょうか?
次のパートではこれらの課題解決策としてAI-OCRを紹介していきます。

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AI-OCRがもたらすメリット

AI-OCRとは

AI-OCRは、AI(人工知能)を利用したOCR(Optical Character Recognition)のことを指し、紙や画像などに記載された文字をスキャンしてデジタルデータに変換する技術です。

AI-OCRは、機械学習や深層学習といったAIの技術を応用し、従来のOCRよりも高度な文字認識能力を持ちます。たとえば、手書き文字の認識、FAXなどでかすれた文字の認識、複雑なレイアウトや背景を持つ文書からの文字認識などを可能にしています。

また、AI-OCRは学習を通じて読取精度を向上させることが可能です。
これにより運用を続けるほど事務処理の自動化や効率が高まり、業務プロセスの改善に貢献します。

次にAI-OCRがもたらすメリットについて解説します。

コスト削減

AI-OCRを使用すると手動でのデータ入力や文書の分類など、時間と人手を要する作業を自動化することが可能になります。これにより人件費や作業にかかる時間やコストを大幅に削減することが可能です。

対応スピードの向上

AI-OCRは高速で文字データを読み取り、CSVファイルなどに変換することができます。これにより、例えば顧客からの注文などの処理時間が大幅に短縮され、迅速な対応が可能になります。また、AI-OCRはシステムと連携して自動的にデータを処理するため、迅速な情報共有や分析が可能になり、結果的に顧客満足度の向上に繋がります。

ヒューマンエラーの軽減

AI-OCRは一定の精度で文字を認識し、適切なデータ形式に変換します。従来1から行っていた処理業務が確認だけで完了するため、人間によるデータ入力ミスや誤読、誤分類などのヒューマンエラーを大幅に軽減することができます。

付加価値の高い業務への集中

AI-OCRによる自動化はルーティン業務を削減し、付加価値の高い業務に集中することができるようになります。そのためビジネスの生産性と効率性の向上につながります。また、案件規模拡大に比例して発生するルーティン業務にもスムーズに対応することができます。

コンタクトセンター部門でのAI-OCR活用事例

事例1: 通販業A社様

背景
ハガキやFAXなどで届く注文書の処理を手入力で行っていたが、キャンペーン時などの繁忙期には手が回らず受注処理業務の効率化を検討。
アウトソースも検討したが納期が早くなることはなく、社内でどのように対処するかを検討した結果AI-OCRを導入

適用業務

  • FAXやハガキ等で届く受注業務

問題点

  • 繁忙期は注文処理に2~3日費やしていた
  • 注文書の入力に莫大な人数と時間がかかっていた

課題

  • 繁忙期でも遅滞なく注文を処理できる業務フローの構築
  • スピーディな社内処理による顧客満足度の向上

導入後の効果

  • 2~3日かかっていた注文処理が30分まで短縮
  • 繁忙期でも変わらない人数で注文処理が可能に

事例2: 通販業B社様

背景
店舗で記入してもらう会員登録用紙の登録業務を手入力で実施していた。
店舗数拡大により登録業務の負担が増えたため、改善が必要に。
店頭での登録の際にタブレットやスマホでの入力も試験的に行ったが、お客様の負担になるため不採用。お客様の登録に負担をかけずに社内業務を効率化する方法を検討した結果、AI-OCRを導入

適用業務

  • 会員登録業務

問題点

  • 店頭での会員登録数に比例して増える入力業務への対応

課題

  • お客様が負担なく登録できてかつ社内業務を効率化するフローの構築
  • 入力業務によって発生する残業や休日出勤を減らす

導入後の効果

  • 100時間/月の業務効率化
  • 入力作業からデータ分析や顧客フォローなど経営に活かせる業務への配置転換

AI-OCRの導入のポイント3選

ここからはAI-OCRを導入するときに確認すべきポイントを3つに絞りお伝えします。

導入実績

本当に利用可能なツールなのか事例や実績を確認するのは重要です。業界やビジネスモデルに応じた導入例があるか、またその結果はどうだったかを確認してください。成功事例や失敗事例から学ぶことができます。

システム連携

AI-OCRツールは単体で機能するだけでなく、他のシステムと連携して効率的に機能することが重要です。CRMシステム、ERPシステム、データベースなど、既存のシステムとの連携がスムーズに行えるかも重要な観点になってきます。

操作性、使いやすさ

ツールを利用するのはシステムを熟知している人だけではありません。
現場で業務を行うスタッフが容易に操作を習得できるようなツールが好ましく、そうすることで教育や運用開始までに費やす時間を大幅に短縮可能です。
またツールの操作性がいいことでスタッフもストレスなく業務を遂行できます。

まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございます。
コンタクトセンターが直面する様々な業務課題に対して、AI-OCRの有用性をお伝えしました。
本記事で自社が抱えている課題の解決策としてのAI-OCRをご検討いただけると幸いです。
今回は広義に「コンタクトセンター」が抱える課題についてお伝えしましたが、抱える課題は各社ごとに異なります。
詳細な事例やサービス紹介についてはこちらからお気軽にお問い合わせください。

執筆者紹介

古賀 祥晟 氏
古賀 祥晟 氏
AI inside 株式会社 Marketing Group
新卒で独立系SIerに入社後、大手企業を中心としたソリューション営業を経験。 2018年にAI inside にフィールドセールスで入社し、インサイドセールスおよびパートナーセールス、マーケティングチームの立ち上げを実施。現在はマーケティングチームに所属し、AIサービスのプロモーションを中心に従事している。
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株式会社ベルシステム24

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