コンタクトセンターの委託で注意すべきポイント

 2021.02.22  2024.09.01

コミュニケーションツールが多様化したことで、コンタクトセンターの需要が年々増しています。しかし、それと同時に深刻化しているのが労働力不足の問題です。当記事では、これらを解消する一手として今注目されている、コンタクトセンターの委託について詳しく解説していきます。

2023年度版!コンタクトセンターの最新トレンドまるわかりガイド

コンタクトセンターの委託(アウトソーシング)が高まる背景

近年、コンタクトセンター業務を、外部へ委託する企業が増えています。この記事ではまず、コンタクトセンターの委託が注目されている3つの要因と、将来展望について詳しく解説します。

要因1 :多様化するコミュニケーションツールに対応

これまでの顧客対応は、電話・FAX・封書でのやり取りなど、いずれも問題解決に時間のかかるものばかりで、忙しい現代人からは敬遠されがちです。電話対応は緊急の際に役立ちますが、待ち時間が長く、必ずつながる保証もありません。

また、「日中は働いていて連絡ができない」「電話で話すのが苦手」など、さまざまな理由から電話ができない顧客に対してのフォローも課題となっていました。

そのような中、メールやチャットなどコミュニケーションツールが多様化し、顧客の多くがオンライン上のやり取りに慣れてきています。こうした事情により、つながるかわからない電話よりも、自分の好きな時間にコミュニケーションを取れるメールやチャットなどが注目されるようになりました。

要因2:顧客満足度の向上

多様化するコミュニケーションツールに対応することは、顧客とのつながりを深めることにもなります。例えば、簡単な問い合わせには待ち時間の長い電話でなく、チャットボット(自動会話プログラム)・FAQ(よくある質問とその回答)・IVR(自動音声応答システム)などで対応すれば、顧客の問題をスムーズに解消できます。

コンタクトセンターの設置は、これまで企業優位だった問い合わせ方法を顧客優位に変換できます。その結果、顧客満足度やカスタマーエクスペリエンス(顧客体験価値)の向上が期待できるのです。

要因3:労働力不足の解消

応募者の少なさや離職率の高さから、コールセンターの労働力不足は常に深刻な状況にあります。コールセンター業務を行うには、顧客が抱える問題の解決だけでなく、クレーム対応や商品説明など、さまざまなスキルと知識を習得する必要があります。
しかし、必要なスキルを身につけても、クレーム対応などによるストレスが原因で辞めてしまう人も少なくありません。

また、コールセンターは女性が圧倒的に多い職種とも言われています。結婚や出産を機に退職する人も多いため、企業は人材確保に頭を悩ませがちです。そこで今、注目されているのが、コンタクトセンターの外部委託です。

コンタクトセンターの将来展望

2020年からは新型コロナウイルスの影響もあり、クラウド型コンタクトセンターへの企業投資が進んでいます。その一方で、在宅ワークの普及により需要が増えたことで、クラウド型コンタクトセンターソリューションの単価自体は低下傾向にあるため、市場成長の鈍化が予測されます。

もっとも、政府からの在宅ワーク推進を受けて、これまでコンタクトセンターを採用していなかった中小企業などでも、今後は導入が進むと考えられます。市場全体の規模としては微増に留まるでしょう。

BellCloud+ご紹介資料
はじめてのPBX!まるわかりガイド

外部に委託できる業務について

ここでは、外部委託が可能なインバウンドとアウトバウンド業務について解説します。

インバウンド業務

顧客やクライアントからの電話を受けたり、メールやチャットを受信したりすることを「インバウンド業務(受信業務)」といいます。顧客対応の内容は、「問い合わせ・商品の受注・予約や応募の受付・クレーム対応」などで、クライアントからは新規案件の受注が主です。

インバウンド業務を外注すると、自社の営業時間内に来た電話やメールへの対応を、委託業者がすべて代行してくれます。委託業者が得た情報は自社の担当者へ引き継がれ、個別に対応が必要な案件に関しては、自社の社員が折り返し連絡をするという流れです。これにより、自社の社員が不在のときも、顧客やクライアントからの連絡を取りこぼす心配がありません。

また、インバウンド業務を完全に委託することで、自社の社員がコア業務に専念できるため、会社全体の作業効率アップも見込めます。最近では、受信業務のほかに発送業務や決済処理、業務コンサルティングなど、インバウンド業務を複合的にサポートしてくれる業者も登場しています。

アウトバウンド業務

顧客やクライアントに電話をかけたり、メールやチャットを発信したりすることを「アウトバウンド業務(発信業務)」といいます。アウトバウンド業務では、新規顧客の開拓・アンケートなどによる市場調査・イベントの告知や商品アピール・顧客へのアフターフォローまたはヒヤリングなど、主に自社から顧客または企業に向けてアプローチを行います。

アウトバウンド業務はインバウンドと違い、企業の都合で動いているため、急な営業電話に不快感を露わにする顧客も少なくありません。また、電話で新規顧客を開拓するには膨大な数の電話をかける必要があり、かなりの時間と労力を必要とします。
それらを自社の社員が行いながら、本来の業務を遂行するには限界があるため、アウトバウンド業務を外部委託する企業が増えているのです。

さらに、新規事業に参入する際も、リサーチを専門とする委託業者に依頼すれば、自社の負担を軽減しながら有益な情報が得られるでしょう。

コンタクトセンターを委託するメリット

ここでは、コンタクトセンターを外部委託する3つのメリットについて解説します。

コスト削減

コンタクトセンターを自社で立ち上げる場合、イニシャルコスト(初期費用)とランニングコスト(維持費)が不可欠です。以下に主なコストをまとめました。

イニシャルコスト

  • コンタクトセンター業務を行うためのスペース確保(土地の購入または賃貸物件など)
  • デスクやパソコン、電話機、事務用品などの購入
  • 電話やネット回線の設置工事
  • 採用活動や人材教育にかかる費用

ランニングコスト

  • 家賃や光熱費
  • 給与や退職金、社会保険料、交通費などの人件費
  • 電話およびインターネット使用料

コンタクトセンターを外部委託することで、これらの膨大なコストを削減できます。また、人材教育や社員管理など、コミュニケーションコストに自社の社員が時間を割く必要もありません。
「コンタクトセンターの導入を低コストで実現したい」「自社の社員は基本業務に集中してほしい」と考えている企業にとって、外部委託は大きな魅力と言えるでしょう。

業務品質の向上

コンタクトセンターの委託を専門に扱う業者には、顧客対応に特化したスキルを持つプロフェッショナルが多数在籍しています。そのため、コンタクトセンターの導入後すぐにでも高品質なサービスを顧客へ提供可能です。

自社で一からオペレーターを教育するには、それなりの時間と費用がかかりますが、外部委託することでそれらの問題を解決できます。質の高いサービスを提供することで、顧客満足度向上が見込めるだけでなく、自社の社員を基本業務に専念させられるため、結果として業務品質の向上にもつながるでしょう。

このようにコンタクトセンターの外部委託は、顧客・企業の双方にとってメリットが大きいと言えます。

生産性向上

先述した通り、コンタクトセンターを外部委託することで、コミュニケーションコストの削減が可能です。つまり、自社の社員が基本業務またはコア業務に専念できるため、企業全体の生産性を向上させられます。

また、繁忙期に人員を増やしたり、閑散期に減らしたりするなどの社員管理も委託先で行うため、人件費の無駄が発生しないのもメリットです。

[SMART_CONTENT]

コンタクトセンターを委託する際に注意すべきポイント

コンタクトセンターを外部委託する際は、いくつか注意すべきポイントがあります。それぞれしっかりと押さえておきましょう。

セキュリティのリスク

自社の社員に代わって他社の人間が業務を遂行するということは、少なからず情報漏えいのリスクを抱えることになります。これはコンタクトセンターに限らず、外部委託全般に言えることです。
社内情報が漏えいすると、クライアントや顧客にも迷惑がかかり、企業としての信頼もなくしてしまいます。情報漏えいのリスクを減らすためにも、委託先の選定には十分注意してください。

なお、オペレーターの入室管理を徹底し、機密情報についての研修を義務化している業者もあります。ほかにも、ネットワークの監視やデータベースの暗号化、ISMS(情報セキュリティマネージメントシステム)による統制などを、セキュリティ対策に取り入れている点を強みとする業者も存在します。

コンタクトセンターの外部委託を検討する際は、値段だけでなく万全なセキュリティ対策が敷かれているかどうかも注目しましょう。

社内ナレッジの蓄積

「社内ナレッジ」とは、企業にとって有益な情報のことです。コンタクトセンターの外部委託には、社内ナレッジが蓄積しづらくなるという問題があります。社内ナレッジが充実している企業では、自社製品やサービスの改善点が明確になり、商品開発も顧客に寄り添った提案ができるでしょう。

しかし、コンタクトセンターを外部委託すると、自社の社員が顧客と直接やり取りをしないため、通常であれば社内に蓄積されるはずの情報が、外部で止まってしまいます。
このような問題を解消するためには、コールセンター担当の社員を自社に置き、常に委託先と情報を共有することが大切です。委託先に届いた顧客の声を把握することで、社内ナレッジを蓄積し、さまざまな業務に活かしましょう。

外部へ委託するための準備

コンタクトセンター業務を外部委託する際は、事前の準備が不可欠です。企業理念・業務内容・商品情報やサービス内容など、社内の情報を委託先に預けなくてはなりません。また、クレーム対応やトラブルが起きたときの解決方法(トラブルシューティング)など、さまざまなことをマニュアル化する必要があります。

しかし、マニュアルを作成するには時間がかかるため、自社で行おうとすると社員に負担がかかります。

そこで、委託先を選ぶ際は、マニュアル作成の段階からサポートしてくれるかどうかを選考基準とするのもおすすめです。実際に、コンタクトセンター業務を取り扱う業者の中には、マニュアル作成代行・入力作業代行・秘書業務代行など、色々なサービスをオプションとして用意しているところも存在します。

こうしたマニュアル作成オプションを使用すれば、自社の社員への負担をさらに軽減させ、業務効率向上が狙えるでしょう。ほかにもオプションが用意されている場合もあるので、費用対効果をよく計算しつつ、委託を検討しましょう。

まとめ

多様化する顧客のニーズに応えていくために、コンタクトセンターの存在は欠かせないものになるでしょう。しかし、自社で運営するには社員の負担が大きいため、外部委託の検討をおすすめします。その際、当記事で紹介したポイントを念頭に置き、慎重に業者の選定を行ってください。

はじめてのPBX!まるわかりガイド

RECENT POST「ノウハウ」の最新記事


ノウハウ

コンタクトセンター・コールセンターはインハウス?アウトソーシング?それぞれのメリット・デメリット

ノウハウ

コンタクトセンターシステム・コールセンターシステムとは?必要な機能の比較や多彩な選び方も解説

ノウハウ

これからのコンタクトセンター変革の方向性とは

ノウハウ

Withコロナ/Afterコロナでコンタクトセンターはどのように変わるのか

コンタクトセンターの委託で注意すべきポイント
BellCloud+ご紹介資料
New call-to-action

RECENT POST 最新記事

ブログ無料購読のご案内

RANKING人気記事ランキング

AUTHOR執筆者

OFFICIAL SUPPORTER