昨今、コンタクトセンターなどにおけるアフターサービスの改善に取り組む企業が増えています。本記事では、アフターサービスにはそもそもどのような内容が含まれるか、現代の企業の経営戦略で改めて重要視されるようになったのはなぜかを解説します。優れたアフターサービスを提供している企業の事例も紹介するので、自社のサービス充実にお役立てください。
アフターサービスとは
アフターサービスとは、商品を購入した後の顧客をフォローするために実施されるサービスです。英語に言い換えると、「After Sales Service(アフターセールスサービス)」と呼ばれるのが一般的です。
アフターサービスは、顧客満足度を高め、自社に対する顧客の関心やエンゲージメントを維持することを目的に実施されます。アフターサービスの提供は既存顧客との関係を良好にし、他社との差別化を図り、利益向上にも繋がるため、多くの企業が積極的に導入・改善に取り組んでいます。
主なアフターサービスの内容
アフターサービスの内容は多岐にわたります。主な内容として、以下のような事柄が挙げられます。
①クレーム処理・問い合わせ対応
アフターサービスの第一の仕事は、製品・サービスに関する顧客の不満や疑問を解決するクレーム処理や問い合わせ対応です。こうしたカスタマーサービスは、顧客体験からストレスを取り除き、顧客との関係を良好に維持するために役立ちます。
これらのサービスの提供方法はさまざまで、コールセンターでの電話対応を筆頭に、メール、チャット、問い合わせフォーム、SNS、チャットボットなどが挙げられます。顧客からのフィードバックを、製品・サービスの改善に役立てることも可能です。
②商品の返品・修理・交換
商品に不具合があった場合などの返品や、修理・交換もアフターサービスの主な仕事です。例えば電化製品などのメーカーであれば、保証期間を設けて無償の修理・交換期間を設けているのが一般的です。有料で保証期間の延長サービスを提供している企業もあります。
また、現物を確認してから購入できないECビジネスが普及した現代では、サイズ変更など商品交換や購入間違いによる返品など、柔軟な対応を行う企業も増えています。
③商品の設置・組み立てサービス
商品の設置や組み立て、取りつけのサポートもアフターサービスの一環です。例えばエアコンや家具の販売会社には、こうしたサービスを提供している企業が多いことでしょう。顧客にとっては購入後の設置対応を専門家に任せられることへの安心感があり購入の判断につながりやすいサービスです。
④部品や消耗品の交換・補充・提供
自社商品を長く使ってもらうために、部品や消耗品の交換・補充・提供することも、重要なアフターサービスです。
例えばスマートフォン本体はまだ使えて気に入っているのに、バッテリーの持ちが悪くなってしまったので、仕方なく新しく買い替えた経験がある人も多いのではないでしょうか。顧客がそこで新しい製品を自社で購入してくれればよいですが、他社に乗り換えてしまう可能性も否定できません。この場合、バッテリー交換(消耗品の交換)という選択肢を提示することで、顧客との関係維持を図りやすくなります。
このようにアフターサービスと一口に言っても、その仕事内容は多岐にわたります。したがって、こうしたアフターサービスの実施主体として、コンタクトセンターを構築・運営したり、場合によっては外注したりすることが必要です。
アフターサービスが経営戦略上、重視されている理由
現代においては、多くの企業が充実したアフターサービスを提供しています。アフターサービスが経営戦略的に重要なのはなぜでしょうか。
顧客満足度を向上できる
アフターサービスに企業が取り組む第一の狙いは、顧客満足度の向上です。たとえば、製品・サービスについて何か疑問やトラブルがあっても、そこで迅速かつ真摯に対応してもらえれば、顧客の不満は最小限に留められ、むしろ企業に対する安心感や信頼感が増す場合もあります。
顧客満足度の向上はリピーターの確保につながります。また、「アフターサービスがしっかりしている企業」という口コミが拡散されれば、新規顧客を呼び込む効果も期待できるでしょう。
定期的な売り上げ確保につながる
アフターサービスの充実は、売り上げの安定化にもつながります。昨今では類似の製品・サービスが飽和しつつあるため、付加価値を最大化して他社との差別化を図ったり、既存顧客との関係維持に注力して顧客生涯価値の最大化を目指したりする企業が増えています。アフターサービスを充実させ、売り切り型のビジネスから脱却することは、こうした目的を達成することにも寄与するのです。
顧客は、アフターサービスを通して製品・サービスの価値を最大限体験できれば、愛着を感じやすくなります。それがリピート購入やサービスの継続利用につながり、企業に定期的な利益をもたらすことへと結びついていくでしょう。
他企業との差別化が図れる
競合他社からの差別化が図れるのも、アフターサービスの充実に多くの企業が取り組む理由です。上記でも触れたように、競争が激化した現代においては、製品・サービス自体の内容によって自社を競合他社から差別化することが難しくなっています。
では、価格帯・内容共に同じような商品が2つあった場合、顧客は何を基準にして購入する商品を決めるでしょうか。そこで重要になるのが、アフターサービスの有無や充実度です。当然ながら、アフターサービスがない商品よりも、充実している商品のほうが顧客は安心して購入できます。つまり、優れたアフターサービスを提供する企業が増えているのは、その施策を通して競合他社に差をつけるためなのです。
アフターサービスを導入した企業の成功事例
最後に参考事例として、優れたアフターサービスを提供している企業の取り組みを紹介します。
レクサス
世界的な高級自動車ブランドのレクサスは、充実したアフターサービスでも有名です。たとえばレクサスの車内ディスプレイには、24時間365日対応かつ基本的に無償提供の「レクサスオーナーズデスク」に直通する機能が搭載されています。これによってレクサスユーザーは、トラブル対応はもちろん、快適な自動車ライフを楽しむためのさまざまなサポートを、コンシェルジュから受けることが可能です。
また、レクサスは新車登録日から3年以内は点検・メンテナンス費用が無料なので、維持費を抑えられます。さらに、レクサスオーナーはレクサスの各店舗において、コーヒーなどのドリンクを無料で楽しめる特別な「オーナーズラウンジ」を利用可能です。このようにレクサスは、高級車のオーナーとしての特別感を感じさせる数多くのアフターサービスを提供して、顧客満足度の向上に成功しています。
クボタ
農業や建設業などが使用する産業機械メーカーとして有名なクボタも、アフターサービスに力を入れている企業のひとつです。クボタが提供する製品はビジネスで使用される性質上、滞りなく安定的に稼働する必要があり、そのためには充実したアフターサービスが欠かせません。
そこでクボタでは、交換部品の充実、ディーラーや小売店との連携による迅速な修理体制の整備、スマホを通して機械の状態やメンテナンス時期の確認などが手軽にできるアプリ「MY農機」の提供など、充実したアフターサービスを用意しています。また、商品を購入した顧客の生産性や業務効率化につながるソリューションや情報を提供することで、顧客満足度を高めています。
まとめ
類似した製品・サービスが飽和している昨今のビジネス環境において、アフターサービスは付加価値を高め、他社との差別化を図る手段として重要視されています。優れたアフターサービスは、顧客満足度を向上させ、リピーターの増加を促し、企業に安定的な利益をもたらすことに寄与します。
本記事を参考に、ぜひアフターサービスの見直しや改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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