チャットサポートとは?
コンタクトセンターが導入するメリットを解説

   

コンタクトセンターでの顧客対応にチャットサポートを導入する企業が増えています。本記事では、コンタクトセンターの業務効率化を図りたい責任者に向けて、チャットサポートの仕組みや導入メリット、注意点について解説します。自社にチャットサポートを導入しようか迷っている場合はぜひ参考にしてください。

自動応答ソリューションチャットボット事例集

チャットサポートとは

チャットサポートとは、文字通りチャットを使った顧客対応のことです。Webサイト上に設置された「チャットボタン」をユーザーがクリックすると、チャットシステムが起動する仕組みになっています。主に文字入力の機能を使い、ユーザーからの商品やサービスに関する質問に答えてくれるほか、ユーザーにとって有益とされる関連情報を提示してくれます。

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チャットサポートの種類

チャットサポートは特徴に応じて3つの種類に分かれます。有人チャットシステムとチャットボット(無人)、ハイブリッド型です。それぞれの特徴について解説しましょう。

有人チャットシステム

有人チャットシステムとは、専門オペレーターとリアルタイムでチャットのやり取りができるものです。従来のコールセンターのチャット版と言えるでしょう。人間が対応するので、ユーザーからの質問意図をくみ取り、詳細をさらに深堀するなどフレキシブルな対応が可能です。

幅広い回答力を備えているため、個別対応性の高い問い合わせにも適しています。また、メールや電話での対応と比べて処理スピードもアップするため、大幅なコスト削減が見込めるでしょう。ただし、オペレーターの人件費は発生しますので、3つの中ではもっとも費用がかかるのが難点です。

チャットボット

チャットボットとは、システムが自動で応答するものです。有人ではないため、24時間いつでも対応が可能で人件費も発生しません。AIを搭載するかどうかによって、2種類に分かれます。

シナリオ型

シナリオ型には、AIは搭載されていません。あらかじめ設定しておいた想定FAQや複数の選択肢を表示させて分岐させるシナリオを使い、適切な解決方法を提示するものです。

ただし、効果が安定して期待できるのは、「想定されるFAQ数が50件未満」など、質問数や傾向がある程度絞られるケースや、またはそこまで複雑な質問が来ないケースに限られます。例えば、特定の銀行口座の「口座振替」に関するものなど問い合わせ内容が限定的であれば、シナリオ型でも十分機能する可能性が高いでしょう。

AI搭載型

シナリオ型よりも精度の高い対応を実現するのがAI搭載型です。シナリオ型との違いは、「ユーザーが入力した質問内容を文章単位で分析できる点」「問い合わせ実績から学習できる点」です。さらにもし異なる表現をされても質問意図が同じであることまで理解します。そのため、数百パターンの問い合わせに対して、適切な解決方法を提示することが可能です。

ただし、学習機能を発揮するには、ある程度の問い合わせ実績の蓄積が必要となります。そのため、導入コストやAIへの学習コストも高くなるのがデメリットです。

ハイブリッド型

ハイブリッド型は、チャットボットと有人対応の両方を機能として兼ね備えたタイプです。最初は自動応答で受け付け、やり取りを通じて相談内容を大まかに絞ったうえで、難度の高い複雑な問い合わせはオペレーターで対応するのが主な流れです。シンプルな内容であれば自動応答で速やかに解決できます。

オペレーターに切り替わった際にも、すでに相談内容の概要を把握できているため、対応時間の短縮化が図ることができます。有人対応・チャットボットのいずれかの場合と比べて、ユーザーへの利便性を高めつつ、業務を効率化できるのがメリットです。オペレーターの人件費はかかりますが、最小限に抑えることが可能です。

コンタクトセンターがチャットサポートを導入するメリット

チャットサポートの導入は、コンタクトセンターにどのようなメリットをもたらすのでしょうか。企業側のメリットについて解説します。

業務効率が上がる

チャットサポートの導入によって、従来の電話・メールでの対応と比べ、大幅な業務効率アップが期待できます。

まず、チャットの場合、同時に複数人とのやり取りが可能です。本人確認についてもスピーディに進められます。電話の場合、会員番号や住所などを都度口頭で確認する必要があり、一致確認のための待ち時間も発生してしまいます。しかしチャットサービスでは、顧客本人が自分の情報を入力するので、このプロセスが大幅に効率化されるのです。

電話でのやり取りに多い、言い間違いや聞き間違いも起こりにくく、仮に入力ミスがあっても文字として見えるので気づきやすいでしょう。伝達ミスが減れば、本題のやり取りもスムーズです。

リアルタイムにやり取りができる

リアルタイムにやり取りができるのもチャットサービスの魅力です。メールでは即時対応が難しく、状況によっては複数回やり取りをしなければならない場合もあります。

電話でも混雑時にはかなりの待ち時間が発生するでしょう。その点、チャットであれば比較的リアルタイムかつ双方向のコミュニケーションが取れるので、問い合わせ内容に不明点があったとしてもその場で確認できます。

お互いがテキストを見ながらやり取りできるので認識のズレも起こりにくく、問題を確実に解決できる可能性も高まるでしょう。待ち時間が短くなり、疑問も即時に解決するなら、ユーザーにとってこんなに便利なことはありません。結果的に顧客満足度の向上にも寄与します。

テキスト以外でもサポートできる

チャットの場合、テキストベースでの回答以外に、サイトURLや参考画像・動画など、さまざまな形での情報提供が可能です。電話では音声だけ、メールではテキストだけでのサポートしかできないため、状況によっては意思疎通が難しく、解決に時間がかかってしまいます。

チャットサポートを積極的に利用するタイプの人は、一般的にITリテラシーが高い傾向にあります。設定方法を記載した参考URLを提示するだけで自己解決できるケースも少なくありません。電話越しの言葉による説明ではなかなか伝わらない内容でも、チャット上で画像や動画を見せることで早く理解してもらえる場合も多いでしょう。

顧客とのタッチポイントが増える

ユーザーの立場からすると、チャットサポートのほうが電話やメールでの相談よりも心理的ハードルが低いと言えます。問い合わせ数の増加は、ユーザーとのタッチポイントが増えるということでもあります。

窓口が電話とメールしかなかったときには問い合わせをしてこなかったサイレントユーザー層が、相談してくれるようになる可能性もあるでしょう。さらに、満足いく回答を得られた場合、企業に好感を持ち見込み客になってくれるかもしれません。収集された多くの意見は、今後のマーケティング活動にも有効活用できます。

履歴をデータベース化できる

もともとテキストベースでのやり取りであるため、直接データベース化できるのもチャットサポートの利点です。ユーザーとのコミュニケーション履歴は、今後さらに対応品質を向上させるためのナレッジベースとして活用できます。オペレーターは、「過去に同ユーザーにどのような回答をしたか」「どのような情報を提供したか」を確認したい場合、履歴をさかのぼるだけで済みます。

もし、電話でのやり取りをナレッジベース化しようと思うと、対応履歴を参照したうえで音声データを聞いたり、音声をデータ化したりしなくてはなりません。こうした過程を非常に簡略化しやすい点も、チャットサービスの特徴なのです。

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チャットサポート導入の注意点

チャットサポートを導入するにあたって注意したいポイントについても解説します。導入の際には、次に挙げる3つのポイントを踏まえたうえで、自社にとって最適なコンタクトセンターの在り方を検討する必要があります。

オペレーターの教育が必要

チャットサポートのオペレーターには、それに特化したスキルが求められます。チャットの場合、リアルタイムで回答する必要があり、ユーザーも即時の対応を期待しています。さらに、短い文章でのやり取りが基本です。すなわち、限られた文字情報からユーザーの「課題・要望」を把握し、簡潔かつ丁寧な文章で迅速に回答するスキルが不可欠です。

状況によっては1度に複数の問い合わせをさばく能力も必要でしょう。対応に手間取ると、「チャットなのになぜこんなに待たされるのか」と新たなクレームの火種になりかねません。有人対応を導入する場合は、幅広い質問に迅速な答えが返せるようオペレーターのスキルアップ研修の実施も重要です。

無人では対応できる範囲に限りがある

チャットボットでは、個別対応性が高い複雑な問い合わせには対応しきれない場合もあります。問い合わせ履歴を分析し、FAQやシナリオをブラッシュアップしたり、AI搭載型に学習させたりすることによって徐々に回答精度を高めていくことは可能です。ただし、有人チャットと比べると、対応できる範囲には限りがあると言わざるを得ません。

自社のサービス内容を踏まえ、無人対応だけでは処理しきれないと思われる場合は、チャットボットからスムーズに有人チャットや電話対応に切り替える仕組みが必要です。どう聞き直してもチャットボットが同じ回答を繰り返すだけで解決されないという状況では、ユーザーに大きなフラストレーションを与えてしまいます。

年齢層によっては使いこなせない

年配のユーザーの中には、電話でサポートを受けたいという人も多いはずです。普段からスマートフォンやパソコンの操作に慣れていない人にとって、チャットシステムを起動させてテキストで問い合わせる作業は負担が大きいでしょう。チャットでのやり取りでは、顧客側にも即時性が求められるため、オペレーターやチャットボットの回答スピードについていけない可能性もあります。

自社のサービスが幅広い年齢層をターゲットにしている場合、いきなりチャットサービスだけに一本化すると顧客満足度が下がってしまう恐れもあります。ゆくゆくは完全移行を検討しているとしても、しばらくは電話との併用がおすすめです。

まとめ

チャットサポートの導入は、ユーザーの利便性を向上させるだけでなく、オペレーターの対応時間短縮などの業務効率化を後押しします。顧客を待たせることなく迅速にその場で問題を解決できる可能性が高まり、顧客満足度の向上にもつながります。

「コンタクトセンターのオペレーター不足が慢性化している」「人件費を抑えながら対応品質を向上させたい」。こうした悩みをお持ちの場合は、ぜひチャットサポートの導入も検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の推奨者

竹田 努
竹田 努
2004年に入社後、10年ほどは大型コンタクトセンターを中心に、オペレーション、経営企画、営業(プライシング)、事業管理部門など経験。その後アソシエイトパートナーとして、各種業界(通信、金融、メーカー、小売り、サービス業)のコンタクトセンターのソリューション導入、生成AIの活用や、データ活用など幅広い分野でプロジェクトを牽引。プロジェクト管理、統括責任者としての実績が豊富で、顧客に寄り添うことをモットーにしております。
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