CS(カスタマーサポート)の隠れコストを撃退!
能動的なCSを作るためのポイント

 2023.09.29  2024.05.09

現在、通販事業者の中で顧客体験(CX)の向上が重要視されています。
顧客体験を向上するために、カスタマーサポート(CS)の充実は不可欠で、事業者にとって喫緊の課題です。
そこで本記事では、カスタマーサポートの充実を阻害している隠れコストを解消し、攻めのCSに転換させるポイントについて解説いたします。

CS(カスタマーサポート)の隠れコストを撃退!能動的なCSを作るためのポイント

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通販事業者に広がるカスタマーサポートの重要性

カスタマーサポートが重要視されている時代背景

過去最大規模の盛り上がりを見せている通販業界ですが、その中でも成功している通販事業者には共通点があります。
それは、上質な顧客体験を提供していることです。そして、上質な顧客体験を提供している通販事業者はカスタマーサポートに力を入れています。

なぜカスタマーサポートに力を入れているのか、理由をいくつかお伝えします。

  1. 競争激化: 
    通販業界は、現在大きな盛り上がりを見せています。
    コロナ禍により多くの企業が通販に参入し、また消費者自身も外出機会の減少に伴い、通販で商品を購入することに抵抗がなくなりました。物販ECを中心に競争が激化しています。
  2. SNSの普及とVOC(Voice of Customer:顧客の声)の影響力:
     インターネットとSNSの普及により、顧客は簡単に情報を共有し、企業に対する評判を認識できるようになりました。
    VOCもSNSや口コミサイトなど至る所で投稿されており、大きな影響力を持つようになっています。
    一度悪い評判や不満が広まると、企業の信頼性や収益に悪影響を及ぼす可能性があるため、いち早くフォローし、改善が行える体制作りが求められています。
  3. 広告費の顧客獲得単価の高騰:
    市場に多くのプレイヤーが参入したことで、今まで以上に顧客獲得にかかるコストが高くなっています。そのため、一度の取引だけでなく、長期的な顧客関係を築くことがビジネス成功に不可欠となっています。

カスタマーサポートは顧客接点の大事なポイント

売上を伸ばしている企業は、先述した時代背景をいち早く察知し、カスタマーサポートを充実させています。

カスタマーサポートを充実させることで、消費者の購買体験で発生する細かい躓きを解消し、またトラブルが発生した場合でもいち早くフォローを行うことで顧客満足度を向上させています。

読者の中にも、企業に問い合わせをした際の対応によって企業への好意度が大きく変わった経験をしている方も多いのではないでしょうか?

カスタマーサポートは現代のビジネス戦略において非常に重要な要素となっています。成功している通販事業者は積極的に改善に取り組み、顧客満足度を向上させ、競争力を維持・強化しています。

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カスタマーサポートの活躍を阻害する隠れコスト

隠れコストの正体

カスタマーサポートの役割は多岐に渡ります。そのため一つ一つの業務のわずかなコミュニケーションロスや一手間が大きな負担になっていることがよくあります。
特に注意を向ける必要があるのが、お客様から定常的に問い合わせをいただく「よくある質問」に対応する工数=受動的なカスタマーサポートです。

通販事業者に発生する受動的なカスタマーサポートでは主に以下の3つが挙げられます。

  • 商品在庫の問い合わせ
  • 配送に関する問い合わせ
  • 返品/交換に関する問い合わせ

多くのECストアの問い合わせ対応時間を確認すると、ほとんどの対応時間が受動的なカスタマーサポートに取られています。
さらに細かく分析をしていくと顧客への対応時間と言うよりも、在庫数や配送状況といった情報の吸い上げにかかる時間や複雑な業務フローによる作業時間に時間が取られています。

受動的なカスタマーサポートに費やされている時間が多ければ多いほど、本来目的としている顧客体験の向上に割く時間がなくなり、結果的に競合との差別化ができなくなります。

最も大事なことは、この「よくわからないが、いつの間にか消費されている」時間的コストを徹底的に削減することです。

削減した時間的コストを、攻めのカスタマーサポートに転用することで競合と差別化された顧客体験を提供することに繋がります。

隠れコストを解消するためのツール選び

隠れコストを解消するためには、自社の運用フローにあったシステムを導入することが必要です。
体力のある企業であれば、一から自分たちにあったシステムをフルスクラッチで開発することも可能ですが、多くの事業者がそれを行うのは難しいと思います。
その代替案として、世の中にあるSaaSサービスやカートシステムのオプション機能を活用し、ある程度一般化した方法に自社の運用フローを載せ替える方法があります。

とはいえ、今ある運用フローをゼロから作り直すことも非常に作業として負担が大きく実現性がありません。

そこでおすすめなのが、Shopify(ショッピファイ)です。

弊社が支援しているShopifyは数多くの業務効率化を実現してくれるアプリがあり、しかも低コストで導入可能なものが多いです。
アプリなのですぐに導入して試すことが可能であり、不要なものは簡単に削除することができます。
コストも安いもので数百円、高くても数万円のため自社の業務フローにあうアプリを探すためのハードルも低いです。

代表的なアプリを紹介させていただきます。
なお、アプリを選定するときのポイントは、以下の3つです。

  • 機能面で自社の要件を満たすかどうか
  • アプリのレビュー数が多く、評価点は高いか
  • サポート体制はしっかりしているか

アプリのレビュー数が多いほど多くのストアに利用されているアプリになります。また評価点が高いことは、ストアの要望を満たしているアプリだと言えます。
多くのストアに使われていれば、当然サービス終了のリスクは低くなりますし、機能的にも優れたアプリの可能性が高いです。

また、レビューの中でサポート体制に触れるコメントが確認できるアプリは良いアプリである可能性が高いです。というのも、サポート体制がしっかりしていることは導入までのサポートが充実していることと同義ですし、導入後も要望をしっかり聞いてくれる可能性が高く、自社の業務に合わせた細かいチューニングができるためです。

少し脱線しましたが、代表的なアプリを紹介いたします。

商品在庫の問い合わせ

商品在庫の問い合わせを減らす、効率化するためのアプローチは大きく2つあります。
1つ目は、在庫の確認を1箇所で済ませるように、特にモール展開をしているストアはOMSを導入すること
※OMS …Oder Management System(オーダーマネジメントシステム)の略
オーダーマネジメントシステムとは、ある注文を受けた時、どの在庫拠点からいつ出荷し納品するべきか、最適解を導き出し、実行指示する仕組み。商品の受注から配送までを一括管理で管理することができるようにするシステム。
2つ目は、商品詳細ページに再入荷通知ボタンを導入することです。

OMSは様々なツールがありますが、代表的なものはNEXT ENGINE(ネクストエンジン)、LOGILESS(ロジレス)、OPENLOGI(オープンロジ)です。
出店しているモールに対応しているか、自社のシステムと連携ができるかを念頭にご検討ください。

商品詳細ページに再入荷ボタンを設定することで、在庫切れについてのお問い合わせを減らすことができます。
また、ボタンをクリックしたお客様は、必然的にその商品が欲しい高い見込み顧客になるため、問い合わせ削減以外にもCVRを上げることにも貢献します。まだ再入荷通知ボタンを設定されていないストア様は是非設置することをお勧めします。
Shopifyで再入荷通知ボタンを設定するときにおすすめのアプリはBack in Stock(バックインストック)です。

配送に関する問い合わせ

配送に関する問い合わせを減らすためには、出荷完了メールを送ること、その出荷完了メールの中に追跡番号を入れることは最低限必要なことですが、受け取り場所を増やすことも問い合わせ削減に繋がります。

実店舗を持っているECストアであれば店舗受け取りの選択肢を増やすだけでも購入者は受け取り場所や受け取るタイミングを自由に選べるようになります。
実店舗があるストアは是非店舗受け取りにチャレンジしましょう。

ShopifyでもShopifyPOSを導入したり、テワタシのような日本の会社が作成したアプリも出てきており、導入のハードルが下がってきています。

返品/交換に関する問い合わせ

返品の工数を下げる時に検討することは、「返品/交換理由を人の目で確認する必要があるかどうか」です。
例えばアパレル関連の通販業者に多い返品理由は「サイズが違った」です。
この場合、購入者の要望はサイズ違いの同商品を交換することなので、購入者にサイズを選び直してもらう導線さえ構築できれば、自動化できます。
Shopifyアプリでは「recustomer(リカスタマー)」を導入することで自動化に成功している企業が多くいます。

また、全体的な問い合わせを減らすために、FAQの充実やチャットボットの導入もおすすめです。
FAQは検索対策にも有効のため、上記のよくある問い合わせを中心にコンテンツを充実させましょう。
Shopifyアプリの中ではエンジニアがいないと実装がなかなか難しいアコーディオン式のFAQページが作れるものが月額数百円程度で提供されています。(FAQ Page & Help Center Proなど)

チャットボットを導入する際は、どうしても業務が複雑になりがちなため、設定サポートを考慮して日本の開発会社が提供しているアプリをお勧めします。
アプリ以外にもJavaScript埋め込みで実装が可能なサービスも比較的手軽に導入することが可能です。
ベルシステム24が提供しているekubot ChatLITE/ChatPROはコールセンター業務の実際の音声を分析しシナリオ設計ができるため、問い合わせ工数の削減に有効的です。

Shopifyアプリは世界で10,000以上存在しており、なかなか自社にあったアプリを探すことが難しいかもしれません。
その場合は、弊社のようなShopify expertにご相談いただければ伴走しながら貴社にあったアプリの選定のお手伝いをさせていただきます。
是非お気軽にご相談ください。

攻めのカスタマーサポート

受動的なカスタマーサポートの隠れコストを撃退したら、次は攻めのカスタマーサポートを構築します。攻めのカスタマーサポートの目的は「顧客体験の向上」です。

顧客体験を向上させる攻めのカスタマーサポートでやるべきこと

顧客体験を向上させるためには、お客様の不満を取り除いて上げることが重要です。そのため、積極的にお客様に働きかけ商品に対する理解促進や購買時に生じる躓きを取り除いて上げる必要があります。

代表的なサポートを3つお伝えします。

  • 商品提案
  • リピート促進
  • 顧客の声を吸い上げ社内に展開する

商品提案:
お客様が実際に商品を購入する前に、商品に関する問い合わせが入る場合があります。攻めのカスタマーサポートはお客様のニーズをヒアリングし、場合によっては検討している商品とは違う商品を提案する必要が出てきます。ヒアリングのやり方や商品提案のパターンをマニュアル化し、誰でも同様の提案をできるようにすることがポイントになります。

リピート促進:
特に定期販売(サブスクリプション)を導入している場合、購入後にも積極的にお客様とコミュニケーションをとる必要があります。
商品の正しい使用方法がわからない、商品が余ってきたなど解約になりうる要因を事前にコミュニケーションをとって潰すことでLTVを引き上げることが可能です。

顧客の声を吸い上げ社内に展開する:
カスタマーサポートは最もお客様に近い存在です。そのため、生の顧客の声を拾い上げるのに適切な機能です。商品の改善、サービス自体の見直し、マーケティング調査など様々な役割で利用できるため、カスタマーサポートで拾い上げた声を社内に展開する仕組みを構築しましょう。

まとめ

カスタマーサポートの中には目に見えない隠れコストが存在します。隠れコストを解消するために積極的にツールを導入しましょう。
一時的にツール代というコストが増えるように見えますが、業務効率化による浮いた時間を攻めのカスタマーサポートに使うことで、顧客体験を向上させ売上を大きく伸ばすことができます。
結果的に費用対効果も高まるので、SaaSサービスやアプリをうまく活用することで初期コストを抑えながら改善のPDCAを回していきましょう。

ハックルベリーはShopify expertとして、ストア様の業務改善並びに売上の向上支援を得意としています。
事業企画からサイトの構築、運用支援まで一気通貫でご支援可能です。

これからカスタマーサポートを構築しようとしているストア様も、これからさらに強化しようとしているストア様もお気軽にお問い合わせいただけると幸いです。

執筆者紹介

安藤 祐輔 氏
安藤 祐輔 氏
株式会社ハックルベリー 代表取締役
ケンコーコムでECのMDやマーケ、中国ECのフルフィル事業起ち上げでECキャリアをスタート。その後、WEB接客ツールを開発 / 運営しKDDIにM&A。
EC店舗 / サポートベンダー両面のキャリアが長く、EC戦略立案から構築、運営における実績と深い知見を持つ。
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