有人24時間対応のコンタクトセンターは時代遅れ?
最新テクノロジーを活用する方法

 2020.08.26  2024.09.01

コンタクトセンターでは近年、人件費や人手不足などの問題から、有人24時間対応を行うことが難しくなってきています。この問題を解決するために、チャットボットやチャットセンターなどを導入するセンターも増えつつあります。今回は、最新デジタルテクノロジーを活用したコールセンターの負担軽減・サービス向上について解説します。

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24時間対応のコンタクトセンターはコスト無駄使い

コンタクトセンター(コールセンター)の稼働時間には、日中・夜間・早朝などさまざまなものがあります。平日のみ稼働しているセンターも存在しますが、中には土日祝日まで休まず稼働しているセンターもあります。

コンタクトセンターの稼働時間が長ければ長いほど機会損失が減り、顧客満足度も向上します。企業イメージや売り上げをアップさせるには、24時間365日稼働するのが理想的といえるでしょう。

しかしながら、これはあくまでも理想の話です。実際には、企業側からすれば割に合わない面が多く、非効率といわざるを得ません。コンタクトセンターの有人24時間対応には、以下のような課題があるのです。

人件費がかかる

コンタクトセンターが稼働している間は、オペレーターによる有人対応を行わなければなりません。24時間対応のコンタクトセンターでは、「3交代制」などを採用して常にオペレーターがいる状況を作っています。

しかし、ここで生じるのが人件費の問題です。
コンタクトセンターの人件費の相場は、平日の9時~18時(ビジネスタイム)が最も安く、深夜から早朝にかけて高くなる傾向にあります。したがって、有人24時間対応のコンタクトセンターは多くの人件費が要求されるのです。

教育費がかかる

オペレーターの教育費も無視できない問題です。オペレーターは大切な顧客とダイレクトに接する重要な存在であり、オペレーターの質が悪いと顧客満足度の低下に繋がるため、しっかりと教育を行う必要があります

しかし3交代制で運用するとなると、それだけ多くのオペレーターを雇用しなければなりません。雇用が増えれば当然、オペレーターの教育や研修にかかる費用も膨れ上がってしまいます。

呼数が限られる

有人では対応できる呼数に限界があります。電話対応の場合、オペレーターと顧客は基本的に1対1の関係となります。

繁忙期など問い合わせ件数が多くなると、対応可能なオペレーターがすぐに埋まってしまいます。こうなると、待ち時間や放棄呼(オペレーターに繋がる前に顧客が電話を切ること)が増え、機会損失や顧客満足度の低下を招きます

このように、有人24時間対応のコンタクトセンターは余計なコストがかかります。売り上げアップのためにセンターの稼働時間を増やしても、無駄なコストがかかっていては本末転倒になってしまいます。

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チャットシステム導入でコンタクトセンターの課題解決

これらの問題の解決策として、近年「チャットシステム」が注目を集めています。
チャットシステムは、その名の通り“チャット形式”で顧客とコミュニケーションを取るものです。チャット画面を介して顧客とオペレーターがリアルタイムでやり取りするため、オンライン接客ツールとも呼ばれています。

従来では、コンタクトセンターとのやり取りは電話やメールが中心でした。しかし先述の通り、電話は繋がりにくいという問題があります。一方のメールも、回答が来るまでに時間がかかるという点がネックになっていました。

こうした電話やメールのデメリットをカバーするのが、このチャットシステムです。チャット形式であれば、電話のようにリアルタイムでのやり取りができます

さらに、メールのように視覚的な情報(画像や動画など)も送れるため、顧客に対してよりわかりやすいアドバイスができるでしょう。これにより、顧客が抱えていた不満を解消することが可能になります。

3タイプのチャットシステム

コンタクトセンター向けのチャットシステムには、大きく分けて「自動応答型」「有人対応型」「ハイブリッド型」の3種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

自動応答型

自動応答型は、顧客から送られたメッセージに自動で応答するプログラムです。別名「チャットボット」とも呼ばれ、無人で対応できる点が特徴です。

自動応答型には「AI搭載型」と「シナリオ型(ルールベース型)」の2種類があります。

AI搭載型は、人工知能(AI)の機械学習に応じて応答するものです。それまでに蓄積された質問と回答のデータをAIが解析し、最もふさわしい回答を表示します。顧客は、まるで人と会話するような感覚でコミュニケーションを取ることができます。データはどんどん蓄積されるため、さまざまな質問に対応できるというメリットがあります。

もう1つはシナリオ型(ルールベース型)と呼ばれるもので、決められたシナリオやルールに沿って会話を進めていきます。シナリオは、顧客からの質問を想定してあらかじめ作成されています。AIとは違い、シナリオ以外の回答はできませんが、AI型に比べて低コストで済むというメリットがあります。

有人対応型

有人対応型では、オペレーター自身がチャットの入力を行います。自動応答型と同じくチャットツールを使いますが、有人対応であるという点が異なります。

人が対応するため、チャットボットよりも正確性の高い対応ができます。また、1人のオペレーターが同時に複数の顧客とやり取りを行うことも可能なので、電話のような待ち時間もほとんどありません。

ハイブリッド型

ハイブリッド型は、自動応答型と有人対応型を切り替えるものです。一次対応を自動応答で行い、AIが解決できなかった場合に有人対応に引き継ぐという運用方法が一般的です。

質問の内容によっては、チャットボットによる自動応答だけで十分な場合もあります。オペレーターに回ってくる問い合わせを絞ることによって、オペレーターの負担を軽減することができます。

コンタクトセンター24時間対応の救世主、チャットボット

24時間対応のコンタクトセンターを実現させるには、チャットボットの導入が鍵となります。ここからは、チャットボットの基礎知識についてより詳しく見ていきましょう。

チャットボットとは?

「チャットボット(chatbot)」とは、「対話(chat)」する「ロボット(bot)」という意味の造語です。チャットボットを一言で表すならば、人とロボットの対話を可能にする技術です。質問の内容を解析する自然言語処理をはじめ、ありとあらゆる学習技術を組み合わせて作られています。

チャットボットの歴史は意外にも古く、1960年代には登場していたといわれています。初期のチャットボットはごく単純なものでしたが、その技術は徐々に成長していきます。昔からMicrosoft Officeを使っていた方であれば、ヘルプ表示などの際に出てきたイルカのキャラクター「カイル」に覚えがあるのではないでしょうか。Office97から搭載された「オフィスアシスタント」と呼ばれる機能で、これもチャットボットの1つでした。このほか、iPhoneの定番機能となった「Siri」も身近なチャットボットの例です。

このように、今や我々にとって身近な場所でもチャットボットが用いられるようになりました。従来、人の手で行われてきた問い合わせ対応や受注業務などを代行することもできるため、新たなコミュニケーション手段として大きな注目を集めています。シナリオは、顧客からの質問を想定してあらかじめ作成されています。AIとは違い、シナリオ以外の回答はできませんが、AI型に比べて低コストで済むというメリットがあります。

チャットボットのメリット

チャットボットを導入するメリットは、大きく分けて3つあります。

オペレーターの負担軽減

チャットボットを導入すると、よくある質問は自動応答のみで済ませられます。これにより、オペレーターの負担を大きく軽減することができるでしょう。またオペレーターの人数も減らせるため、人件費の削減にも繋がります。

24時間365日対応可能

自動応答であれば、オペレーターを配置する必要がありません。深夜や早朝、休日にもコンタクトセンターを稼働できるため、24時間365日での運用が実現しやすくなります。

同時に複数顧客を対応可能

同時に複数の顧客とやり取りできるため、待ち時間もほとんどありません。顧客にとってもオペレーターにとっても大きなメリットといえます。

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チャットシステム導入の注意点

このようにメリットの多いチャットシステムですが、導入に際して注意しなければならない点もあります。注意点についてもしっかりと理解しておきましょう。

サイレントカスタマーの呼び起こし

「サイレントカスタマー」とは、時間や手間を惜しみ、それまで問い合わせを諦めてきた顧客のことです。

気軽に問い合わせできるチャットシステムを導入すると、このような顧客からも問い合わせが来ます。必然的に問い合わせ件数が増え、応対コストが上がる可能性があるという点に注意しましょう。

オペレーションが煩雑になり機会損失が発生する

新たにチャットシステム(有人対応型)を導入する場合、それまで電話対応してきたオペレーターがチャット対応を行うことになります。オペレーターが使うシステムが増えると、次のような問題が起きる可能性があります。

問い合わせ対応の後処理時間が長くなる

チャットツールで集めた情報は、電話やメールの対応履歴が残っているCRM(顧客管理)に追加していくのが一般的です。
しかし両者はデータ形式が異なるため、オペレーターの手でチャットのデータ形式を変換し、CRMに入力しなければなりません。こうした余計な後処理が発生し、業務効率が下がる可能性があります

適切なインシデント分配ができない

電話とチャットではシステムが異なります。したがって、オペレーターが両方のシステムを並行して使う場合、それぞれのステータスを把握できないという問題が生じます。
CTI(電話とコンピュータの統合システム)はオペレーター達の通電状況を管理できても、彼らがチャットツールで応対中かどうかまではわかりません。そのため、各オペレーターの応対頻度に偏りが生じる可能性があります

こうした非効率的な状況を改善するには、電話とチャットのオペレーターを分ける、または電話とチャットのシステムを連携する必要があります。上記のようなトラブルが生じないよう、システム導入前に万全な対策を講じておきましょう。

まとめ

チャットシステムを導入することにより、24時間体制のコンタクトセンターをより効率的に運用することができます。

中でも自動応答を行うチャットボットは、コンタクトセンターの業務効率化に大きく貢献するテクノロジーです。コンタクトセンターの24時間運用を目指しているのであれば、チャットボットの導入を検討してみましょう。

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