CRM分析とは?知っておきたい手法を紹介

   

顧客へ適切なアプローチを行ったり、人気の商品を生み出したりするには、既存顧客を分析することが重要です。そこで本記事では、既存顧客を分析するのに効果的な「CRM分析」について解説します。CRM分析の概要や代表的な手法、押さえておきたいポイントを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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CRM分析とは何か

CRM(Customer Relationship Management)分析とは、顧客との良好な関係を実現・維持するための分析です。一般的な顧客分析は市場を分析するのに対して、CRM分析は個別顧客や自社顧客、既存顧客を対象に分析を行います。

CRM分析では、顧客の年齢や性別、居住地などの属性のほか、購入履歴や購入頻度を用いて分析します。具体的には、「どの年齢層が自社サービスを利用しているのか」「商品を購入する頻度はどのくらいか」などです。
これらの分析結果より、自社顧客に合わせたマーケティング戦略が立てられます。また、優良顧客やリピーターになりそうな顧客を見つけ出し、ターゲットを絞った効率的なセールスを行うことも可能です。

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CRM分析の知っておきたい手法

CRM分析で採られる手法は1つではありません。ここでは、代表的な6つの分析手法について、それぞれの意味や特徴を紹介します。

RFM分析

RFM分析は、「Recency(直近購入日)」、「Frequency(購入頻度)」、「Monetary(購入金額)」の頭文字をとった言葉です。その名の通り、これら3つの指標から顧客を分析します。

RFM分析では、顧客ごとに「R」「F」「M」の3つの指標を用いてランク付けを行います。その結果、「R」「F」のランクが高い顧客は、直近に商品を購入しており、なおかつ購入頻度が高い顧客、すなわちリピーターであるとわかるのです。ほかにも、「M」のランクが高く「F」のランクが低ければ、購入額は大きいものの購入頻度は少ない顧客、すなわち、優良顧客になりうる顧客と判断できます。
なお、RFM分析において特に重要とされるのは、直近購入日である「R」の指標です。なぜなら、いくらほかの2要素が優れていても、直近に購入がなければすでに他社に奪われている可能性があるためです。
こうして顧客を分類していくことで、自社にとって重要な顧客の見極めができます。優良顧客や見込み顧客へ積極的なアクションが行えるようになるほか、元優良顧客へ掘り起こしDMを送信する際にも有効です。

CPM分析

CPM(Customer Portfolio Management)分析は、RFM分析より細かい指標によって、顧客を10グループに分類する分析手法です。10個のグループに対してそれぞれ異なるアクションをかけることで、現実的な範囲でパーソナライズされたマーケティング戦略が実施できます。

CPM分析に用いられる指標は、主に「購入回数」「購入総額」「購入単価」「初回購入から最終購入までの期間」「最終購入から現在までの期間」などです。
RFM分析とほとんど同じに感じられますが、注力している点がやや異なります。RFM分析は、優良顧客へのアプローチに重きを置いた手法です。対してCPM分析は、離脱した顧客の引き戻しや顧客満足度の向上に重きを置いています。そのためCPM分析は顧客と良好な関係を構築し、長期的な売上拡大を目指すことに適した分析手法なのです。

デシル分析

デシルとは、「10分の1」「10等分」といった意味です。転じてデシル分析とは、顧客を購入金額に応じて10グループに分類する分析手法を指します。これにより、購入比率の高い顧客を見つけ出し、効率的なセールスを行うことが可能です。

例えば、自社顧客が100人だとします。この100人を購入上位から順に、10人ずつ10個のグループに分けます。各グループの購入総額、および顧客全体の購入総額からグループごとの金額比率を割り出せば、分析はほぼ完了です。算出した比率からは、上位2グループが自社売上全体の70%を占めている、などの情報が得られます。

分析そのものは顧客情報を購入金額順に並び替えるだけなので、非常に簡単です。しかし、得られた結果をどのように活用するのかは、時間をかけて検討しなければなりません。売上が高いグループに優先的に投資するのか、低いグループに積極的にセールスをかけるのか、あるいは総数を最大化するために新規顧客の獲得を狙うのか、などです。
分析結果と実行すべきアクションが明確に結びついていないのは、デシル分析の難しい部分と言えるでしょう。また、デシル分析には直近購入日、購入期間などの時間軸が指標に含まれません。精度を上げるためにも、ほかの分析と組み合わせたり、あらかじめ分析対象を「最終購入から○ヶ月以内」と絞ったりすることが求められます。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析とは、共通のニーズや属性、購入履歴によって顧客を分類(セグメント)し、それぞれについて重点的に分析する手法です。セグメントごとの共通点を見つけられれば、積極的にマーケティングを実施すべき顧客層や特徴が把握できます。

セグメントについては、例えば年齢別で分類したり、居住地域別で分類したりします。さらに、同じ年齢・居住地域でも性別や家族構成、勤務形態などの属性も加えることで、より精度の高い分析が可能です。

しかし、むやみに属性を増やしても、データ収集に時間がかかるだけで有意な結果が得られるとは限りません。正しい属性を考える際に重要なのは、「もっとも購入に結び付く属性は何か」という視点を持つことです。

CTB分析

CTB分析は「Category(分類)」「Taste(デザイン・サイズ)」「Brand(ブランド)」の3指標を用いて顧客をグループ化する分析手法です。

商品の分類についても、さらに大きく3つに分けられます。「メンズ/レディース・生活用品・食品」といった大分類、「スポーツウェア・フォーマルウェア・バス用品・お菓子」といった中分類、さらに細分化された小分類という具合です。
デザイン・サイズとは、そのまま商品の色や模様、形状を指します。ブランドとは、企業や商品の名称、またキャラクターなどです。

これらの3要素より人気の商品、売上の大きい商品の分析を行います。成功すれば、POSなどの顧客情報からは読みとりづらい、「どんな顧客がどんな商品を好むのか」といった傾向が推測可能です。商品開発やプロモーションを行ううえで、大きなヒントとなるでしょう。

LTV分析

LTV(Life Time Value)は、「顧客生涯価値」に着目した分析手法です。顧客生涯価値とは、顧客が生涯で自社商品に費やす総額のことです。顧客生涯価値は、平均購入単価・購入頻度・購買期間などから算出します。そのため、一度の購入金額が少なくとも、長期的に利用していたり、購入頻度が高かったりする顧客はLTVが高くなります。

LTVの高い顧客とは、自社にとって重要度が高い顧客です。LTVが高い顧客を重点的に分析することで、顧客に寄り添ったプロモーションが行えます。また、LTVが高い顧客の流入経路を分析することで、優先的に投資すべき広告媒体の選定にも役立ちます。

CRM分析の実施において押さえておきたいこと

CRM分析を行う前に、まずは目的・課題を明確にしましょう。CRM分析にはさまざまな手法があり、それぞれ得られる効果は違います。効果的に結果を出すためにも、ゴールを見据えて運用すべきです。
また、CRM分析を行う際は、いくつかの手法を組み合わせることをおすすめします。前述の通り、各手法には強みと弱みがあるため、複数の手法により多角的に分析することで制度の高い結果が得られるでしょう。

しかし、上記のような多角的なデータ収集・分析には、当然時間がかかります。そこで便利なのが、CRMツールの導入です。データの収集から分析のほか、結果が出たあとのサポートが行えるので、効率的にCRM分析が行えます。
なお、CRMツールを検討する際は、「CRM以外の分析ツールやシステムとも連携が可能かどうか」を必ず確認してください。分析の精度を高めるために、社内のあらゆるデータにアクセスする必要があるためです。

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まとめ

CRM分析は、既存顧客との良好関係を実現し、利益につなげるために実施します。正しい分析結果が得られれば、マーケティング戦略の立案や商品開発に役立つでしょう。CRM分析を実施する際は、始めに分析の目的を明確にしたうえで、複数の分析手法を組み合わせることが重要です。また、効率的に情報収集を行うためには、CRMツールの導入も有用です。

「ベルシステム24」は、最先端のクラウドテクノロジーを利用したコールセンターCRMソリューションです。コールセンターで得られた情報を安全、かつスマートに管理します。CRM基盤「BellCloud®」と連携することで、蓄積したデータを基にしたCRM分析も可能です。

コールセンター基盤、あるいはCRM基盤に興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。
参照:https://www.bell24.co.jp/ja/solutions/index.html#CRMTechnology

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竹田 努
竹田 努
2004年に入社後、10年ほどは大型コンタクトセンターを中心に、オペレーション、経営企画、営業(プライシング)、事業管理部門など経験。その後アソシエイトパートナーとして、各種業界(通信、金融、メーカー、小売り、サービス業)のコンタクトセンターのソリューション導入、生成AIの活用や、データ活用など幅広い分野でプロジェクトを牽引。プロジェクト管理、統括責任者としての実績が豊富で、顧客に寄り添うことをモットーにしております。
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