コールセンター業界が抱える課題と今後の展望

   

コールセンター業界は、人手不足や離職率の高さ、人材育成など多くの課題を抱えています。コールセンターを運営している企業は、これらの課題を解決する方法を知ることで今後の展望が開けてくるでしょう。

本記事は、コールセンター業界の課題を解決するための4つの方策を紹介します。自社の課題打破のため、ぜひ取り入れてみましょう。

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コールセンター業界の課題

コールセンターは、企業にとって顧客と直接つながりを持ち、顧客の企業に対する印象を左右する重要な部門です。その一方で、役割の大きさゆえに多くのものが求められ、課題も少なくありません。多くのコールセンターでは、人手不足や高い離職率、難しい人材育成、他の部署または部門との連携不足などの課題が積み重なり、負のスパイラルが起きています。

  • 人手不足
    顧客のニーズが多様化している昨今、コールセンター業務は複雑になり、オペレーターの負担も増しています。製品やサービスに関する豊富な知識や対応スキルの高さが求められ、誰にでも行える業務ではないのです。そのため、業務をこなすのに必要な人数を確保することが難しくなっています。

  • 高い離職率
    人手不足の原因でもあるオペレーターの大きな負担は、高い離職率の要因です。顧客と直接関わるため、クレーム対応などで精神的に参ってしまうことも原因のひとつとして挙げられます。また、早期離職率が高いことで、採用や教育にかかるコストも増大してしまいます。

  • 難しい人材育成
    高い離職率のため、人材育成も困難を極めています。スキルの高いオペレーターを育成しようとしても、育成中に辞めてしまうことも少なくありません。教育を行う立場のスーパーバイザーの育成も困難なため、教育体制が整いにくくなります。また、多忙なことで教育に十分な時間を割けないこともあります。

  • 他部署または部門との連携不足
    コールセンターはその役割上、他の部署や部門と密に連携することが必要です。セールス部門などと連携して顧客情報を共有し、細やかなアフターフォローなどを行うなら、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。しかし現状では、多くの企業で十分な連携がとれていません。
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コロナウイルス感染拡大による変化も

多くの職場と同じように、企業のコールセンターも新型コロナウイルス感染拡大の影響による変化が見られました。

コールセンター内では感染症対策として、手洗いやアルコール消毒、座席配置の変更などによる3密回避、窓や空調による換気、営業時間の短縮、ヘッドセットの専有化などが行われました。また、Web会議システムが導入され、会議やミーティング、採用活動、研修など幅広い分野で用いられるようになっています。

勤務形態や勤務体制も大きく変化しています。在宅勤務への移行が進められ、オフィス出勤を求める場合でも時差出勤を取り入れるなど、多くの企業で柔軟な働き方が実現したのです。また、自宅待機時の休業補償なども広く行われるようになりました。

コロナ禍において求職者は、在宅勤務の実施など感染症対策が充実している企業を優先的に選ぶ傾向があります。そのため感染症対策は、従業員を守るためはもちろん、人材確保のためにも重要です。

また、3密回避のために稼働人数を減らしたり、在宅勤務者が増えて二次対応が困難だったり、といった状況下では、業務効率化をさらに進めていく必要もあるでしょう。

コールセンター業界の今後の展望

コールセンター業界が今後さらなる進化を遂げるためには、どのようなことが必要になるのでしょうか。AIのさらなる活用や在宅コールセンターへの移行、業務フローの簡略化、アウトソーシング利用の増加などが考えられます。

AIのさらなる活用

今後はAIが活躍できる分野が増えることが期待されています。従来のコールセンターでも、人手不足の中、限られた人数で顧客に対応できるようCRMIVRなどのシステムが導入されてきました。しかし、これらの既存システムだけでは、オペレーターの応対品質の向上や業務効率化に限界があり、人材確保はいまだに難しい状況です。

これらの課題解決に、近年急速に進歩してさまざまな分野で実用化されている「音声認識技術」を活用できます。コールセンターでは、通話内容をリアルタイムでテキスト化する機能や、顧客やオペレーターの感情を可視化するシステム、顧客の声(VOC)の収集や分析が効果的です。具体的にどのように活用できるのか、以下の資料をご覧ください。

https://www.cloud-contactcenter.jp/resource/utilize-voice-recognition-technology

昨今では、電話以外のさまざまなチャネル、例えばメールやSNS、チャットなどでも対応するマルチチャネル化が進んでいます。それで、単にコールセンターではなく、「コンタクトセンター」、「マルチチャネル・コンタクトセンター」と呼ばれることが増えてきました。
テクノロジーの進化で最新の音声技術が活用される時代になり、従来のコールセンターから大きく変貌してきています。

在宅コールセンターへの移行

コールセンター業界では、新型コロナウイルス感染拡大を機に、「在宅コールセンター」への移行が急速に実施されました。感染対策がきっかけではあるものの、BCPの観点からも、その有用性を見直す企業も増えています。

BCPとは、企業が災害やテロ、システム障害などの緊急事態に備える事業継続計画のことです。東日本大震災以降、多くの企業がBCPのために拠点の分散などを行ってきました。コールセンターでも拠点分散化の動きは加速しています。
中でも在宅コールセンターは各地に点在していて、緊急時でも速やかに業務を再開できるため、BCPとしての有用性が高いと言えるでしょう。今後もさらに増加すると見られています。

業務フローの簡略化

コールセンターにおける業務効率化の重要性も増しています。業務フローを簡略化することで、人件費などのコスト削減やオペレーターの負担軽減、離職率低下などにつながります。
業務フローチャートを作成して、実質上あまり意味のない業務はないか、効率化できる業務はないかを吟味しましょう。具体的には、RPAシステムの導入で定型業務を自動化したり、チャットボットシステムを用いて顧客対応させたりすることで効率化できるかもしれません。

その上で、新たな業務フローチャートや業務マニュアルを作成します。その際、新人でも理解しやすいような表現や説明にすることで、研修にかかる時間やコストも短縮できるでしょう。

アウトソーシング需要の増加

コールセンター業界でも業務を外部に委託する、アウトソーシング需要が高まっています。深刻な人手不足や困難な人材育成などに悩んでいる場合や、コールセンターの開設を予定している場合、有効な手段のひとつと言えるでしょう。

アウトソーシングするならコスト削減や業務効率化を実現でき、従業員はコア業務に専念できます。また、専門性や品質が向上し、運用管理が容易に行えるのもメリットでしょう。社内でノウハウの蓄積ができないことや情報漏えいリスクがあることなどのデメリットはあるものの、検討する価値があります。今後も、コールセンター業界のアウトソーシング需要は高まるものと見られています。

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まとめ

多くの企業が運営するコールセンター業界が抱える課題は、人手不足や高い離職率、人材育成の困難さ、他部署との連携不足が挙げられます。また、新型コロナウイルス感染拡大を機に、コールセンター業界にも変化が起き、感染防止策はもちろんのこと、業務効率化の重要性がさらに増しました。

抱える課題や感染防止策、BCPの観点からも、コールセンター業界に必要な対策は主に4つあり、「AIのさらなる活用」「在宅コールセンターへの移行」「業務フローの簡略化」「アウトソーシングの活用」です。この記事で解説した課題と自社の抱える課題を照らし合わせ、実施できる対策を見つけましょう。

この記事の推奨者

菊池 寛子
菊池 寛子
新卒から10年以上ダイレクトマーケティング業界でフルフィルメント、通販事業の業務設計を担当し基幹システム・CRM構築などのPjtに参画。その後BPO業界に転身し、企業向けサービス、ソリューションの企画・開発を経験。現在はオウンドメディアでのデジタルマーケティングの運用を行っている。
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