コンタクトセンターにおけるチャネル最適化とオムニチャネルの必要性

 2024.12.24 2021.03.04

IT技術の進歩によって、コンタクトセンターにおけるチャネルも多様化しています。そこで今、注目を集めているのが「チャネルの最適化」と「オムニチャネル」という2つの戦略です。今回は、コンタクトセンターにおけるチャネルの最適化と、オムニチャネルの必要性について解説します。

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コンタクトセンターのチャネル最適化が必要な理由

「コンタクトセンター」とは、企業と顧客の接点となる重要な部門です。コンタクトセンターの応対品質によって、企業のブランドイメージは大きく変わります。そんなコンタクトセンターにおける最重要課題は、顧客満足度の最大化です。

従来のカスタマーサポートは電話対応が一般的でした。しかし近年では、電話だけでなくメールやチャット、WebサイトやSNSからの問い合わせなど、チャネルの多様化が進んでいます。顧客満足度の最大化を実現するためには、コンタクトセンターにおけるあらゆるチャネルの最適化が不可欠です。

例えば、問題を自己解決したい顧客に対しては、WebサイトのFAQを充実させたり、チャットボットでアプローチしたりするのが有効でしょう。一方、緊急性の高い問い合わせやクレーム対応などは、電話やチャットといったオペレーターによる対応が必須です。

つまり、顧客ニーズに合わせたチャネルを設けることで、一人ひとりに対して最適な応対が可能になります。優れた顧客体験を提供することで、顧客ロイヤリティの向上と顧客満足度の最大化につながるでしょう。

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顧客の接点を強化する「オムニチャネル」とは

「オムニチャネル」とは、企業と顧客をつなぐあらゆるメディアを連携させ、販売経路を統合して顧客にアプローチする事業戦略です。

「omni(オムニ)」は「すべて」を意味する言葉であり、「channel」を直訳すると「経路」となります。つまり、自店舗やオンラインストアなど、すべての販売チャネルや流通チャネルを統合し、どのチャネルからでも商品・サービスの購入や利用ができる環境を実現する取り組みです。実店舗とインターネットを統合した販売システムを構築し、店舗とネットの垣根を超えたシームレスな販売戦略を構築します。

オムニチャネルが注目を集めている背景には、インターネット環境の発展とスマートフォンの普及があります。

現代では、いつでもどこでもインターネット環境にアクセスできるようになったことで、消費者の購買行動に大きな変化が起こりました。例えば「インターネットで商品を知り、実店舗で実物を確認し、再びインターネットで最安値のショップを検索して購入する」といった行動が該当します。

このような機会損失を防ぐために誕生したのが、オムニチャネルという概念です。

コンタクトセンターにおけるオムニチャネル

コンタクトセンターにおけるオムニチャネルとは、電話対応だけでなく、FAX・メール・チャット・Webサイト・SNSなど、あらゆるチャネルを活用したカスタマーサポートの実現を指します。

例えば、「メール」で問い合わせが来た場合、緊急性が高いと判断された要件を「電話サポート」に切り替えることで、顧客が抱える問題の早期解決が可能です。反対に緊急性の低い要件であれば、メールやチャットで対応することで、顧客は自分にとって都合のよいタイミングで情報を確認できます。また、複数のチャネルを統合することで、情報の一元管理が可能となるのも大きなメリットです。

マルチチャネルとは異なる概念

オムニチャネルと似た用語に、「マルチチャネル」があります。「multi(マルチ)」は「多くの」という意味で使われる言葉です。つまりマルチチャネルとは、複数のチャネルを用意する事業戦略を意味します。

一方、オムニチャネルは複数のチャネルを活用し、シームレスな顧客体験を提供して、「顧客満足度の向上を目指す取り組み」です。コンタクトセンターにおいてオムニチャネルを実現するには、その前提としてマルチチャネルを整えておく必要があります。

言い換えれば、「マルチチャンネルによって収集される顧客情報を連携することで、より適切な顧客対応を実行する」のが、オムニチャンネルです。

コンタクトセンターにおけるオムニチャネル化の必要性

コンタクトセンターをオムニチャネル化して得られるメリットは2つあります。それが「顧客満足度向上の実現」と「クレーム対応に有効」です。ここでは、オムニチャネル化によって得られる2つのメリットについて、具体的に解説します。

顧客満足度向上を実現

オムニチャネルが構築されることで、優れた顧客体験を創出し、顧客満足度の向上を実現します。オムニチャネル化することで、あらゆるチャネルが連携され、顧客一人ひとりに最適化されたカスタマーサポートの提供が可能です。

例えば、ある顧客が製品の不具合について、メールで問い合わせたとしましょう。しかし、問題をすぐに解決したいと思ったその顧客は、急きょ電話でも問い合わせをすることにしました。このとき、従来であれば顧客はオペレーターにメールを送った旨を話し、製品の不具合について一からの説明を求められていました。

しかし、オムニチャネル化によって情報を連携する体制が整ったコンタクトセンターとなら、顧客はメールを送付したことを伝えるだけで、オペレーターに要件を把握してもらえます。顧客に利便性の高いカスタマーサポートを提供することで、顧客満足度の向上につながるでしょう。

また、各チャネルが連携されることで、顧客情報の一元管理が可能です。コンタクトセンターに集まる顧客の声を管理・分析することで、顧客ニーズが可視化されます。顧客の潜在的なニーズを汲み取ったマーケティング戦略は、顧客満足度の向上に不可欠です。オムニチャネル化することで、顧客ニーズを的確につかんだ事業戦略を展開できるでしょう。

クレーム対応に有効

コンタクトセンターのオムニチャネル化が実現すれば、クレーム対応にも効果的なアプローチを行えるようになります。クレーム対応において最も大切なのは、問い合わせしてきた顧客(つまりお客様)の話をよく聞き、怒りを沈める応対能力です。

そのためには、お客様の心情に寄り添いつつ事実確認し、解決策を提示して、誠意を込めてお詫びするというプロセスが必要です。オムニチャネルが構築されていないと、このプロセスの実行が困難になるケースもあります。

例えば、クレーム内容が複雑な問題の場合、お客様へ複数回の問い合わせが必要になる恐れもあります。そして、担当オペレーターが別件に対応しており、担当者が変わることもあるでしょう。

こうした場合、複数の担当オペレーターの間でスムーズな情報共有ができなければ、適切なヒアリングが行えず、お客様の怒りを増幅させかねません。

オムニチャネル化が現場に実現されていれば、オペレーター間での情報共有が円滑化されます。上記のようなケースでも、お客様に対する適切なヒアリングや、解決策の立案・提示へつながるでしょう。

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オムニチャネルを実現するシステム

近年、多くの企業でコンタクトセンターシステムの導入が積極的に行われています。「コンタクトセンターシステム」とは、通話記録の管理や稼働状況の可視化といった業務支援を行うITソリューションです。ここでは、「IVR」と「CTI」という2つのシステムについて解説します。

IVR(自動応答システム)

「IVR」とは「Interactive Voice Response」の略称で、顧客からの問い合わせに対して、音声認識やプッシュボタンによる操作案内をするシステムです。IVRは24時間365日の対応が可能なシステムであり、オペレーター業務を効率化します。

コンタクトセンターは、慢性的なオペレーター不足に悩まされている業界です。また、職業的な観点から見ても、オペレーター職の定着率は決して高くありません。

IVRを導入する最大のメリットは、オペレーターという貴重なリソースを効率的に活用できる点です。業務効率が向上することで、オペレーター一人ひとりの労働生産性が最大化されます。さらに、オペレーターへの負担が軽減されることで、業務遂行に余裕が生まれ、早期離職の防止へもつながるでしょう。

CTI(Computer Telephony Integration)

「CTI」とは「Computer Telephony Integration」の頭文字をとった略称です。電話とコンピュータシステムを統合して連動させ、コンタクトセンター業務の効率化を実現します。

CTIは複数のチャネルデータを一元管理し、あらゆる情報をデータベース化するシステムです。例えば、顧客から電話で問い合わせがあった場合、電話番号をもとに顧客情報を瞬時に表示します。取引内容や過去のやり取りなど、さまざまな情報を確認できるため、オペレーターの作業負担が軽減します。

また、通話録音機能や問い合わせ分析機能などを備えており、応答率・稼働率・平均処理時間といった業務指標の定量的な管理が可能です。

このようにCTIは、オムニチャンネル実現の基礎をなすシステムと言えるでしょう。実際、コンタクトセンターの効率的運用に必須なものとして、近年導入が着実に進んでいます。

まとめ

コンタクトセンターのチャネル最適化は、顧客ロイヤリティの向上と顧客満足度の最大化につながる重要な戦略です。オムニチャネルを構築することで、顧客一人ひとりに最適化されたカスタマーサポートが実現します。コンタクトセンターのチャネル最適化とオムニチャネルの構築は、優れた顧客体験の創造につながるでしょう。

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