コンタクトリーズンとは?分析するメリットや具体的な分析方法について解説
コンタクトセンターの森 編集部
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コンタクトセンターの森 編集部
コンタクトセンターを運営するうえで、顧客が問い合わせた理由(コンタクトリーズン)を正しく把握することはとても大切です。問い合わせの背景をきちんと理解して分析することで、対応のムダを減らし、より快適な顧客体験の提供につながります。本記事では、コンタクトリーズンの概要から、分析するメリット、具体的な分析方法までをわかりやすく解説します。

コンタクトリーズンとは、顧客がコンタクトセンターに問い合わせを行った「理由」のことです。具体的には、「商品の使い方を知りたい」「サービスを申し込みたい」「契約内容を変更したい」「不具合を相談したい」など、顧客が企業へ連絡する際の動機や目的を指します。
コンタクトリーズンと似た言葉に「コールリーズン」があります。両者は基本的に同じ意味で使われますが、コールリーズンが主に電話での問い合わせ理由を指すのに対し、コンタクトリーズンは電話に限らず、メールやチャット、SNSなど、あらゆる顧客接点での問い合わせ理由を包括的に表す用語です。
こうしたコンタクトリーズンを体系的に収集・分類し、傾向や特徴を把握する取り組みを「コンタクトリーズン分析」と呼びます。分析を行うことで、問い合わせの発生要因が整理され、業務負荷や顧客が抱えている課題を可視化できるなど、さまざまなメリットが得られます。
例えば、頻出する問い合わせに事前対策を講じることでオペレーターの対応回数を削減でき、FAQやチャットボットを改善することで顧客の自己解決も促進されます。その結果、応対品質が安定し、顧客満足度の向上や教育コストの最適化、さらにはセンター全体の運営効率化につながります。
こうした一連の効果から、コンタクトリーズン分析はコンタクトセンター運営に欠かせない取り組みとして、多くの企業で注目されています。
コンタクトリーズン分析(コールリーズン分析)の概要やその効果については、以下の関連記事で詳しく解説しています。
コンタクトリーズン分析は、問い合わせ内容をただ分類するだけの作業ではありません。正確なデータを収集し、適切な分析手法を用いて傾向を把握し、その結果をもとに改善施策につなげてこそ意味を持ちます。ここでは、実際にコンタクトリーズン分析を進める際の流れを、ステップごとに紹介します。
分析を始めるにあたって最初に行うべきは、問い合わせ内容のデータを正確に収集することです。どれだけ高度な手法を使って分析を進めようとしても、もととなるデータの質が低ければ、分析結果にも誤差が生まれます。
データ収集には主にCMS/CRMシステムの活用、CWCによる記録、そしてテキストデータを活用する方法の3つがあり、センターの規模や導入しているシステムに応じて選択しましょう。
データ収集の方法として最も一般的なのは、CMS(Call Management System)やCRM(顧客関係管理システム)などのシステムを活用する方法です。これらのシステムには応対履歴を記録する機能が備わっており、オペレーターが問い合わせ内容を正確に入力することで、データを体系的に蓄積できます。
特にCRMは、顧客の基本情報と問い合わせ内容を紐付けて管理できるため、同一顧客からの複数回の問い合わせ傾向や、顧客属性ごとの問い合わせ特性なども把握できます。
CRMシステムが整っていない場合や、小規模センターで効率的に記録したい場合は、CWC(コールワークコード)の活用が有効です。CWCとは、問い合わせ内容に応じてコードを選択・入力し、コールリーズンをカテゴリ別に整理する仕組みのことです。
事前に電話機のボタンへカテゴリごとのコードを設定しておけば、オペレーターは通話終了後に該当ボタンを押すだけで分類・記録ができます。操作が簡単なため入力負担を抑えつつデータを蓄積できる点もメリットです。なお、CWCはCRMに機能として含まれることもあります。
通話内容を音声認識技術などでテキスト化して記録する方法もあります。近年は音声認識技術の精度が向上し、リアルタイムでの文字起こしにも対応できるようになりました。
また、メールやチャットでの問い合わせは、もともとテキストデータとして保存されているため、そこから内容を抽出して分析用データとして活用できます。テキストデータとして蓄積しておけば、後述するテキストマイニングツールを使った高度な分析も可能です。
問い合わせ理由のデータが蓄積できたら、次はそのデータを用いて分析を行います。分析の目的は、問い合わせがどの領域に偏っているのか、どの項目が負荷を生んでいるのかを可視化することにあります。分析方法は主に2つあり、目的やデータの性質に応じて使い分けます。
最もオーソドックスな分析方法が、パレート図を使用する手法です。パレート図では、問い合わせ件数が多いカテゴリを棒グラフで示し、その累積構成比を折れ線グラフで表します。これにより、影響度の大きい上位の問い合わせ内容を特定できます。一般的に、上位2〜3項目が全体の約7〜8割を占めることが多く、優先的に取り組むべき課題が明確になります。
また、パレート図を月次や週次で作成し、件数の推移を追うことで、特定の時期に増加する問い合わせの傾向を把握できます。例えば、新商品の発売時期や決算期など、季節性のある問い合わせパターンを発見することも可能です。
さらに、改善施策の実施前後でパレート図を比較することで、施策の効果を客観的に示せます。データに基づく意思決定を促すうえでも、パレート図は非常に有効なツールです。
問い合わせ内容がテキストとして蓄積されている場合には、テキストマイニングツールを利用した分析が有効です。テキストマイニングとは、大量の非構造化データから特定のパターンや傾向を抽出する技術で、近年ではAIや自然言語処理を組み合わせたツールが広く利用されています。キーワードの頻出傾向や、顧客が不満に感じている箇所を抽出できるため、改善施策の立案に役立つだけでなく、従来気づかなかった顧客の声を発見することにもつながります。
テキストマイニングの詳細については、以下の関連記事で詳しく解説しています。
分析結果に基づき、優先順位をつけながら改善策を立案し、実行します。問い合わせ件数が多い項目や、顧客満足度に大きく影響する項目から優先的に取り組むことで、効率的な改善効果が期待できます。以下は、優先度の高い問い合わせに対する代表的な改善策です。
製品マニュアルがわかりにくい、あるいは情報が不足していることが原因で問い合わせが多発している場合は、よくある質問をまとめたFAQを充実させることが有効です。顧客がよく尋ねる質問とその回答を整理し、わかりやすく公式サイトなどに掲載することで、顧客は自己解決しやすくなります。
FAQを充実させることは、問い合わせ自体を減らせるだけでなく、顧客も待ち時間なく問題を解決できるため、満足度向上にもつながります。また、オペレーターは複雑な問い合わせに集中できるようになり、応対品質の向上も期待できます。
FAQの構築については、以下の関連記事で詳しく解説しています。
問い合わせ件数の上位項目に対する対策として、IVR(自動音声応答システム)の導入が有効です。すでにIVRを導入済みの場合でも、分析結果に基づきシナリオを最適化することで、より効果的な運用が可能になります。
例えば、よくある質問はIVRで即座に対応し、複雑な問い合わせは適切な担当者へ自動振り分けする仕組みを整えることで、顧客の待ち時間やストレスを軽減できます。また、オペレーターも専門分野の問い合わせに集中でき、応対効率が向上します。IVRのシナリオは定期的に見直し、顧客の声を反映させながら改善を続けることが大切です。
IVRについては、以下の関連記事で詳しく解説しています。
一度の問い合わせで問題が解決しない、あるいは応対に不満を持つ顧客が多いといった課題が分析結果から判明した場合は、オペレーターの教育を改善する必要があります。
具体的には、頻出する問い合わせに対する応対マニュアルの整備、ロールプレイング研修の実施、ベテランオペレーターによるOJTの強化などが挙げられます。
このとき、コンタクトリーズン分析の結果を教育カリキュラムに反映させることで、実践的なスキルを効率的に習得できます。
オペレーターのスキル向上は、一次解決率の改善や応対時間の短縮につながり、結果として顧客満足度の向上をもたらします。さらに、オペレーター自身の自信やモチベーション向上につながり、離職率の低減といった副次的効果も期待できます。
コンタクトリーズンとは、顧客がコンタクトセンターへ問い合わせを行う理由を指し、電話だけでなくメールやチャット、SNSなど多様なチャネルを含む点が特徴です。コンタクトリーズンを体系的に分析することで、顧客ニーズを正確に把握し、応対品質や業務効率の向上へつなげられます。
分析は、データ収集、分析、改善策の立案・実行という3つのステップで進めます。データ収集では、CRMシステムやCWC、テキストデータなどの方法を活用し、分析ではパレート図やテキストマイニングツールを用いて傾向を把握します。そして、分析結果に基づき、FAQの充実やIVRの導入、オペレーター教育の改善といった具体的な施策を実行します。
コンタクトリーズン分析を継続的に実施することで、コンタクトセンターの運営効率化と顧客体験の向上を同時に実現できます。さらに、分析結果を製品やサービスの改善にいかすことで、企業全体の競争力強化にもつながります。
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