高まるCRMシステムの重要性とは?
コンタクトセンターに与える3つの価値(中編)

  2025.06.16     2025.06.18

現在のビジネス環境では、企業と顧客の関係を適切に管理運用していくことが大変重要です。特にコンタクトセンターは、顧客との直接的かつ濃密な接点であり、顧客満足や企業価値に影響を与える重要な役割を担っています。顧客関係管理(CRM)システムは、それらを適切に管理運用していくための不可欠なツールであり、近年益々重要になっています。
CRMシステムの重要性は、大別すると3つの視点から整理することができます。

    • エンドユーザー視点、顧客体験(CX)価値の最大化(前編こちら
    • サポート提供者視点、コンタクトセンター運用、オペレーションへの貢献
    • 企業経営者視点、ビジネスあるいは事業組織への寄与

本シリーズでは、3つの視点それぞれに影響する要素を整理し、詳しく掘り下げて解説します。今回の中編では、「サポート提供者視点、コンタクトセンター運用、オペレーションへの貢献」についてまとめます。

高まるCRMシステムの重要性とは?企業に与える3つの価値(中編)

デジタルチャネルCX調査 2024ー2025年版

効率的な業務運営の実現

CRMシステムは、業務プロセスの自動化支援を通じ、オペレーション効率化を大きく推進します。問い合わせの自動振り分け、顧客情報や履歴、ナレッジの参照、定型的な質問への自動応答…等々、毎日毎時行われる繰り返し業務のシステム化を促すことで、現場負担を軽減し、より重要な業務に専念することができます。またCRMシステムは、そのデータを通じて、オペレーターの実績、状況、進捗の把握を促し、正確なパフォーマンス管理と、迅速な改善を支援する機能も備えています。コンタクトセンター全体の生産性や効率性の向上に、CRMシステムは欠かせません。

■顧客情報の一元管理

CRMシステムの最も基本的な機能は、顧客情報の一元管理です。顧客の名前、連絡先、購入履歴、過去の問い合わせ内容などの情報をCRMシステムは集約します。これにより、オペレーターは迅速かつ正確に顧客対応を行い、顧客ニーズへの即応が可能になります。
この一元管理は、エンドユーザー、顧客にとっても体験価値向上に直結する重要な要素です。

■顧客対応の品質管理

CRMシステムは、顧客対応の継続的な品質管理にも貢献します。対応履歴や顧客からのフィードバックなど、CRMシステムに蓄積されるデータを分析することで、サービス品質をモニタリングし、改善点を特定できます。通話録音やメール、チャットログのレビューを通じて、オペレーターのパフォーマンスを把握し、それらに応じたトレーニングや指導を行うことも可能になります。品質管理の強化は、顧客満足や顧客体験に直結し、しいては企業の信頼性にも影響を与えるでしょう。

■トレーニングとスキルアップの支援

前述のように、オペレーターの教育、トレーニングとスキルアップを支援するツールとしても、CRMシステムは貢献します。CRMシステムの利用度を分析することで、スキルや知識が不足している箇所を特定し、適切なトレーニングに反映することも可能になります。近年重要度が増す新人オペレーターの早期戦力化にこれらの機能は欠かせません。またCRMシステムからナレッジベース、FAQ、トレーニングモジュールなどに統合されるケースでは、オペレーターに対する情報提供や教育機会をより迅速に適正化できます。属人化を廃したコンタクトセンター品質の平準化にこれらの要素は欠かせません。

■コミュニケーションの改善

CRMシステムは、チーム内および部門間のコミュニケーションを改善するためのツールとしても機能します。情報が一元化されているため、オペレーターやマネージャーは、顧客対応に関する最新の情報を共有しやすくなります。これにより、社内の連携が強化され、顧客対応の質が向上します。また、CRMシステムには、メモ機能やタスク管理機能が備わっている場合もあり、これらを活用することで、チーム内のコミュニケーションを円滑に進めることができます。効果的なコミュニケーションは、コンタクトセンター全体のパフォーマンス向上に寄与します。

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コンタクトセンター運用の高度化、付加価値化

現代の顧客は、電話、メール、チャット、ソーシャルメディアなど、さまざまなチャネルを通じて企業とコミュニケーションを図るようになりました。マルチチャネルやオムニチャネルの登場によって、顧客はどのチャネルにおいても、一貫したサービス提供を受けることを求めるようになりました。企業もまた、複雑かつ多様な顧客とのコミュニケーションを、より高度に管理運用できる環境やシステムを求めるようになりました。CRMシステムは、顧客のインタラクション、コミュニケーション履歴を統合し、一元的に管理する礎になります。こうしたCRMシステムの要素は、顧客の全体像を把握し、顧客により高い解像度で付加価値を提供する可能性を広げたと言えます。

■カスタマーサポートのパフォーマンス向上

CRMシステムは、カスタマーサポートのパフォーマンスを向上させ、サポート体験を通じた顧客への付加価値を向上させるツールとしても寄与します。対応時間の短縮や解決率の向上といったコンタクトセンターのパフォーマンスは基礎的な要素ですが、顧客満足、顧客体験の向上とロイヤルティ醸成に大きく影響します。

■オペレーターのモチベーション向上

CRMシステムは、オペレーターのモチベーション向上にも貢献します。CRMシステムが提供するデータと分析結果は、個々のオペレーターとマネージャーとの間における評価やフィードバック内容に客観性や納得感をもたらします。これらCRMシステムのデータを元にしたオペレーターへの評価やインセンティブの提供は、モチベーションを高める要素としても機能します。モチベーションの高いオペレーターは、顧客対応の質を向上させ、サービス品質を高める重要な存在です。

■カスタマーサクセスの促進

CRMシステムは、カスタマーサクセスを促進するためのツールとしても効果的です。顧客の成功を支援するために、顧客の利用状況や満足度をモニタリングし、適切なタイミングでサポートを提供することを可能にします。顧客の成功という概念には、アフターサポートやトラブルシューティングの観点だけでなく、例えば、新製品サービス購入前後のチュートリアルやガイダンス、トレーニングを提供することで、顧客が最大限に製品サービスを活用できるよう支援することも含まれます。フォローアップやプロアクティブな支援を通じて、顧客の成功を伴走し、長期的関係を築くことは、顧客ロイヤルティやエンゲージメントの醸成に欠かせません。

CRM(顧客関係管理)の進化と深化

CRMシステムを運用、活用することは、継続的な改善のためのループ(改善活動のサイクル)を深める効果を生み、コンタクトセンターの進化を促します。顧客からのフィードバックを得る、オペレーターの対応履歴を分析する、業務プロセスやサービス提供方法の改善点を特定する、顧客の不満や課題を早期発見する、サービス商品そのものへの洞察を得る等、CRMシステムは顧客コミュニケーションにおけるデータの宝庫です。そして継続的な改善は、企業の成長と競争力の維持に不可欠です。

■オペレーションの透明性とトレーサビリティの向上

CRMシステムは、コンタクトセンターのオペレーションの透明性とトレーサビリティを向上させるためのツールとしても機能します。すべての顧客インタラクションが記録され、一元管理される結果、顧客の動静だけでなく業務プロセスの可視化も可能になります。問題発生時の原因特定、適切な対策を可能とするだけでなく、トレーサビリティの向上により、コンプライアンスの強化や品質管理の精度向上が図れます。透明性が高いオペレーションは、健全な組織運用を営む上でも、顧客の信頼を得る上でも重要な要素です。

■オペレーションの予測と計画

CRMシステムのデータ分析活用は、コンタクトセンターのオペレーションを予測し、計画することにも寄与します。例えば、過去のデータを基に問い合わせのピーク時期やトレンドを予測し、適切なリソース配置を行うことが可能です。また、予測データを基にして、研修教育やシフトスケジュールを最適化することで、効率的なオペレーションを実現することもできます。オペレーションの予測と計画は、コンタクトセンターのパフォーマンスを最適化し、顧客サービスの質を向上させるために非常に重要です。

まとめ

中編は主にサポート提供者視点、コンタクトセンター運用、オペレーションへの貢献について網羅しましたが、ご覧いただいたように、近年は企業のマルチチャネルやオムニチャネルが促進された結果もあり、CRMシステムはもはやコンタクトセンター運用上、なくてならない存在になりました。その影響やバリューは、今後も益々高まると予想されます。
テクマトリックス株式会社では、国産CRMシステム提供ベンダーとして30年余りのCRMシステム提供実績から見えた豊富な経験を元に、WEBでも情報提供を行っています。
近年はボイスボットチャットボット、生成AIなどデジタルコミュニケーション全般にもソリューション領域を拡張し、システム提供をしていますが、CRMシステムの利活用最大化を目指す具体例やケース、情報をキャッチされたい際は、あわせてコチラもご覧いただければ幸いです。

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執筆者紹介

早見 拓也 氏
早見 拓也 氏
テクマトリックス株式会社
CRMソリューション事業部 CRMソリューション推進部マーケティング課
大手コールセンターアウトソーサーにて応対品質調査、サービス開発を経験。その後FAQソリューションベンダーにてシステム導入支援、カスタマーサクセスに従事。現在テクマトリックス株式会社にて、マーケティング課に従事。ナレッジマネジメントの伝道師として各種セミナー講師の活動も行う。
デジタルチャネルCX調査 2024ー2025年版

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